6月4日から10日は「歯と口の健康週間」です。虫歯や歯周病を予防し、口を健康に保つことはからだ全体の健康を保つことにつながります。歯が生え始めたばかりの乳幼児から高齢になるまで、年齢に応じた歯と口のケアが必要です。

「はをピカピカにしよう」「おくちのなかきもちいいな」仙台市内の幼稚園児や保育園児が描いた虫歯予防のポスター。「歯と口の健康週間」にあわせて展示されているものです。虫歯だけでなく、歯と口の健康は体全体の健康とつながっているといわれています。

仙台市 健康政策課 田所大典主査
「口の健康は全身の健康の入り口ともいわれ、例えば、誤嚥性肺炎や糖尿病との関係もいわれている。病気の予防にも大事だが、食事や楽しく話をする観点において人生を豊かに暮らすために非常に重要」

1歳5カ月の悠織君。生えたての歯に塗っているのは虫歯予防のための「フッ化物」です。フッ化物には、溶け出したカルシウムを歯に戻す、虫歯をひき起こす酸に対し強い歯にする、細菌が作る酸の量を減らすなど強い歯を作る働きがあります。

母親
「歯が生えそろってきているので、虫歯なくいけたらいいな」

これは虫歯のある3歳児の割合です。仙台市は全国の平均値と比べて多くなっています。こうしたことを受け、仙台市では4年前から乳歯が生えたばかりの乳幼児がフッ化物を無料で塗れるよう助成しています。歯科医師は、この時期からの虫歯予防が大事だと話します。

ひらた歯科クリニック 平田政嗣院長
「虫歯感染の窓(むし歯の原因菌に感染しやすい時期)が2歳半ぐらいまで、それまでに習慣づけが大事。」

一方、こちらは市内のこども園です。食後の子供たちが行っているのは、フッ化物の入った液によるうがいです。

さゆりこども園 菅野由美副園長
「子供たちが虫歯をなくそうという意思や気持ちを持つことが大事なので、やっていることは無駄ではない」

物心がついた頃から虫歯予防の気持ちや習慣を持たせることも大切だと歯科医師は話します。しかし、年齢が上がるとまた別の問題にも注意が必要だといいます。

ひらた歯科クリニック 平田政嗣院長
「最近特に問題になっているのが口腔機能。しっかりかむとか、しっかり食べるとか、口腔機能というところが、発達がうまくいってないケースが認められる。具体的にいうと、口がポカーンと開いてる子が多かったりとか」

口が開いたままになってしまうのは口の周りの筋力低下が原因です。これがさまざまな問題を引き起こすといいます。

ひらた歯科クリニック 平田政嗣院長
「口呼吸につながることがあり、歯並びの問題やバイ菌やウイルスが直接体の中に入り、風邪をひきやすくなったり、呼吸の部分が十分発達しなかったり、たくさんの問題がでてくる」

この歯科医院では唇を閉じる力、「口唇閉鎖力」を機械で測定し、指導を行っています。

ひらた歯科クリニック 平田政嗣院長
「7歳の女の子だと、7、8以上必要。ちょっとだけ少なかったので筋肉のトレーニングが足りない。『あいうべ』の体操してあげると筋トレできる」

「あいうべ体操」は口の周りの筋肉を鍛える簡単なトレーニング。「あいうべ」と繰り返すことで口を閉じる力が鍛えられ口呼吸が原因となるトラブルを防げるようになるということです。

高齢になって注意が必要なのがオーラルフレイル。オーラルは口、フレイルは機能低下。つまり、口の機能の低下です。

ひらた歯科クリニック 平田政嗣院長
「オーラルフレイルという考え方からいくと、50歳になったら一度今どういう状況なのか調べてみることが大切」

こちらは年齢と口腔機能の関係性を示したグラフです。機能は成人期にかけて上がり、高齢期でぐっと落ちる傾向があります。そして、自分の歯が多いほど「健康寿命」が長く、介護が必要な期間が短いことがわかります。歯を含む口全体の機能を保つことは健康長寿の入り口なのです。

オーラルフレイルは簡単な5項目でチェックできます。あてはまるものが2つ以上ある人はオーラルフレイルの可能性が高いということです。放っておくと口の機能がさらに低下し、やがて体全体の機能も低下、心の健康まで損ねる恐れがあるというのです。そうなる前の予防として、歯磨きの習慣、栄養バランスを考えた食事、定期的な歯科健診が大切だといいます。そして、ここでも口の体操が効果的だということです。オーラルフレイル予防には「パタカラ体操」です。

「パ、タ、カ、ラ」と発音。難しければパ、タ、カだけでも十分。食事前に行うのが効果的だということです。健康な体は、歯と口の健康から。

平田歯科クリニック 平田政嗣院長
「生涯を通じて、歯を大切にしてもらいたい」

仙台放送
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