連日、お米の価格高騰についてお伝えしていますが、値上がりしているのは、お米だけではありません。

卵がまた値上がりしているんです。

2年前に、全国で軒並み卵が高騰した、「エッグショック」の再来となってしまうのでしょうか?

■マヨネーズにも波及「卵」値上げの連鎖はどこまで?

6月1日、東大阪市内のスーパーをのぞいてみると、1パック10個入りの卵の値段が税込321円。

JA全農卵によりますと、2日、東京の卸売価格がMサイズが1キロ当たり340円に。これはエッグショックと呼ばれた2023年5月の350円に迫る価格です。

価格高騰の影響は飲食店にも。こちらは都内の卵かけご飯専門店。あつあつのご飯の上に、ふわふわのメレンゲを乗せ、そこに自家製だれを使ったユッケと黄味がトッピングされた“ユッケ炙り卵かけご飯”が人気です。

週末には1日に200個ほど使用するという卵。価格が高騰している今仕入れ価格に頭を悩ませているといいます。

【吉祥寺TKG たまごのおはなし 土山俊郎代表】「去年の春はまだ、(10キロ)4000円いかないぐらい。毎月の感覚で、100円ずつくらい上がっているイメージ。今、(10キロ)5500円ぐらいにはなってます」

さらに卵を使用した商品も影響を受けています。調味料マヨネーズの大手メーカーキューピーは、先週月曜日およそ2年ぶりに値上げすると発表しました。

物価の優等生と言われてきた卵。じわじわと価格が上がり続ける中、「とれたてっ!」は緊急100人アンケートを実施。卵1パックいくらまでなら、皆さん買いますか?

■「卵いくらまでなら買う?」 消費者100人の衝撃回答

「エッグショック」と呼ばれた2年前に迫る勢いで卵の価格が高騰しています。

「いくらまでなら卵を買うか?」100人に聞いた結果、350円が59人、400円が19人、450円が3人、何円でも買うが19人でした。

街の声は…。
・350円まで
【20代】「頻繁に食べるものだから、安く済ませたい」
【70代】「前まで200円くらいで買えていたものが、倍になるときつい」

・400円まで
【30代】「今の値段のプラス100円までがぎりぎり」

・450円まで
【30代】「毎日子どものお弁当に使うので、500円以上になっると卵の使用頻度を減らすかも」

・何円でも買う
【40代】「ほぼ毎日使う。どうしても必要な食材」
【50代】「代わりになるものはない」
という声が聞かれました。

■第2のエッグショック到来か 価格高騰の“3つの理由”と意外な打開策

卵の価格の推移も、改めて見ておきましょう

今年1月にはMサイズで1キロ258円だった卵価格が、6月2日の最新情報では340円となっています。おととしエッグショックと言われた5月の350円にも迫る勢いですし、グラフの形もちょっと似ています。

【青木源太キャスター】「この間ずっと、令和の米騒動をお伝えしていたから、いつの間にかこんなに上がってたんだということです」

なぜ、価格が高騰しているのか、専門家に聞きました。

卵の流通事情などに詳しい、東京農業大学の元教授・信岡誠治さんによると、主な要因は3つあるということです。

1.去年10月から、断続的に発生している鳥インフルエンザ。
2.円安などによる、飼料代の高騰。
3.多くの養鶏農家が赤字経営で、育てる鶏の数を抑えていたこと

【青木源太キャスター】「鳥インフルエンザ。確かに断続的に時々ニュースでお伝えするので、こうなると大量の殺処分をしなければならないという状況もあり、卵価格に影響を与えるということですよね。後は飼料代の高騰。お米の時も農薬代とかエネルギー代が上がってるからという話も聞きますし、円安というのが影響を与えますね」

【風間晋さん】「もともと穀物類が値上がりしてるのに加えて、日本の場合は特に円安っていうね。ダブルできてますよねそこは。外国の場合はアメリカなんかも今、卵が高くて、実は緊急輸入したんですよ、トランプ政権が。ポーランドとか、ブラジルとかから大量に緊急輸入して、それは卵液の形で。そうすると輸送とか保管がとてもやりやすくなるので、ある意味、『いや形がなきゃだめだよ』というお仕事の方とかね、色々いらっしゃるけれども」

日本にも「液卵」という商品があります。といて液状にした卵を冷凍パックにしたものです。

【青木源太キャスター】「以前『とれたてっ!』でも紹介しましたが、これの場合は卵価格が安い時に大量に作って、凍らせて、というのをやっているそうなんですよね。業者さんとかによっては便利。確かに輸入するとなると、卵が割れてしまったら大変だから、輸送コストがかかるんですね」

【風間晋さん】「液体状態だとコンテナでボーンと運んでくれますから、輸送コストもすごく安くあがる」

■「今の価格が適正」養鶏農家の本音

【青木源太キャスター】「そして多くの養鶏農家が赤字経営で、鶏の数を抑制していたという事情は?」

【加藤さゆり報道デスク】「2年前のエッグショックの時に農家さんを取材したんです。そこは鳥インフルエンザが発生してしまったので、殺処分になってしまったんですよね。結局そういうのがひとたび起こると、もう1回買って、育ててというのに、まず3カ月ぐらいかかりますし、一気に買わなきゃいけないんで、いくら保証や保険がおりると言っても…。

(保険がある?)あるんです、一応。ただ、発生数がここは数年で、もう頻繁になってきてる。過去は2、3年おきだったのが、もう1年おきぐらいに起きてるとおっしゃってたので、そうすると保険代も1つ10億とかの単位をみんなで分けるんですって。そうすると取り合いになるので、すぐに下りないという事情もあって、なかなか農家さんとか、養鶏場さんも、すぐに補填されないんで、守りに入りますよね。

そうすると育てられない、また時間もかかるっていうこともありますし、赤字経営が割と常態化してるので、お米と一緒なんですよ。今が適正価格。今までが安すぎて、やっぱり飼料代もあるけれども、ここは消費者も一度リセットじゃないですけど、理解してほしいってことをおっしゃってました」

【青木源太キャスター】「様々な業者がかかわってますから、しっかりと利益を乗せるというのは大事なことだと思います」

■「適正価格は300円」専門家が指摘 「価格の優等生」卵の時代は終わる?

では、価格はどうなるのか、今後の見通しについても聞いています。

ことし1月からヒナの数が増えてきていて、本格的に卵を産み始めるまで成長した7月頃から価格は少し落ち着くかという見立てだそうです。

ただし、農家の生産コストなどを考えると、300円が適正な価格。

これまで卵は「価格の優等生」と言われていましたが、これだけ変わらなかったのは奇跡に近いので、「『価格の優等生』を諦めた方がいいのではないか」と信岡さんは考えているそうです。

【青木源太キャスター】「私たちの意識をちょっと変えないといけないですね」

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年6月2日放送)

関西テレビ
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