天神橋筋商店街で人気の「コロッケ」。午前中から列ができ、どんどん売れていきます。
【客】「ホクホクであげたてはおいしいですよね。じゃがいも甘くておいしいです」
【客】「40個かいました。差し入れでもっていきます。めちゃくちゃ喜びます」
コロッケの命ともいえる、ジャガイモ。“最大の弱点”を克服する研究が関西で進められています。
■ジャガイモの毒は「加熱調理しても壊れない」
ジャガイモの弱点といえば、芽が出ること。
ジャガイモの芽や皮のすぐ下の部分は太陽の光にあたることで、天然毒素であるソラニンやチャコニンが発生します。
加熱調理しても壊れないやっかいな毒素です。
【街の人】「芽は危ないっていうもんね!」
【街の人】「使い忘れたりして、みたら芽が生えてた。できるだけ早めに使おうと思ってるけど忘れてしまって」
【街の人】「(芽が)大きなときは捨てるし、ちょっとだったら、ほじくって使います。(芽は)食べてはいけない!」
街の人にとってもやっかいな存在のようです。
■農家にとっても負担が大きく…「収穫後の貯蔵がめんどくさい」
農家にとっても意外と負担が大きいそうで…。
【田渕農場・田渕竹男さん】「緑化したら値段が下がるんじゃなくて極端なこというと食中毒というワードがくるので…ごめんなさいじゃすまないので…」
そこで細心の注意を払っているのがジャガイモの保管体制。太陽の光が入らない巨大な貯蔵庫が必須の設備です。
【田渕農場・田渕竹男さん】「暗闇で管理するのが重要。温度も5度前後で管理しています。言葉悪いですけど収穫後の貯蔵がめんどくさい作物になっています」
貯蔵庫の冷房代などのコストもかかるため、こちらの農場では、夏場はポテトチップス用の品種にしぼり、収穫後は保管せず、すぐに出荷するという方法をとっています。
【田渕農場・田渕竹男さん】「基本的にじゃがいもって、農家のところでも緑化するし、お店みてても緑化して廃棄もあるので、そういうのがなくなればフードロスも下がってくる」
■フードロスに革命が起きるか
もはや、『世界の悩み』と言っても過言ではないジャガイモの芽。
そんな状況に革命を起こそうとしている人がいると聞き、向かったのは、大阪大学。
村中俊哉特任教授は、ジャガイモの毒に魅了されて20年。研究を続けています。
【村中俊哉特任教授】「小麦だったり大麦だったりトウモロコシだったりイネだったり主要な作物があるんですけど、毒を気にしないといけないのはジャガイモだけです。加工のときに芽を取るという芽かきの作業が必要になります。そうするとまたフードロスが起こります。芽が伸びなくなるものができれば、加工であったり、消費であったり、いろんな段階でのフードロスを抑えることができると考えています」
■「芽が出ないジャガイモ」
こちらが長い時間をかけて開発に成功した「芽が出ないジャガイモ」。
表面がつるんとしたジャガイモです。
■「ゲノム編集」を駆使したジャガイモは収穫から1年が経過しても芽は出ず
本当に芽が出ないのか。収穫から1年が経過したものも見せてもらうと…芽は出ていません。
普通のジャガイモと比較しても一目瞭然。
村中教授らの研究チームは、ジャガイモの毒を作る遺伝子を突き止め、ゲノム編集という技術を駆使して成功に至りました。
(Q:毒は何%ぐらい取り除ける?)
【村中俊哉特任教授】「検出限界以下です。ほぼ100パーセント」
現段階は、試験管の中での培養にとどまっていますが、早ければ来年度にも、実際に畑に植えたいということです。また、芽が出ないことが特徴ですが、土に植えると発芽するため、繰り返し栽培できるそうです。
■ 「ジャガイモの芽」に悩まされない未来は遠くないかも
肝心のお味はどうなのでしょうか。
【村中俊哉特任教授】「いやまだ分からないですね。お楽しみということで」
研究途中ということで、試食できるまでにはもう少し時間がかかるということです。
【村中俊哉特任教授】「常温においてても伸びないんですね。だからもう冷蔵庫に置いておく必要もなくなるかもしれない」
「ジャガイモの芽」に悩まされない未来。そう遠くはないかもしれません。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年5月30日放送)