31日から古古米が店頭に並びます。
■消費者の選択肢拡大こそ資本主義の基本」古市憲寿氏がコメ政策を斬る
番組コメンテーターの社会学者の古市憲寿さんは「選択肢が増えることは良いこと」と話します。
【古市憲寿さん】「政府はお米の値段を上げてきたかったわけですよ。田んぼの量を減らしてまで、お米の供給量を抑えて、値段上げて農家守るってことを自民党がやってきたわけですから、自民党とJAが。JAがその路線でやってきたわけなんで、値段が上がり始めた時に関して、危機感持っていなかったのは、分かるんですね。でもこうやって備蓄米を出すことはいいと思うんですけど、消費者にとって選択肢が多いことっていいと思うんですね。
備蓄米が嫌だった方もいると思うんですけど、じゃあ（高い）値段出してでも新米買いたいなって方、安くてもいいから備蓄米買いたいって方で、選択肢が増えるってことはすごくいいと思うんです。だから本当はこれに加えて、海外からの輸入米、関税下げてでも、やっぱり僕は輸入していくべきだと思うんですね。
やっぱり選択肢が多い。輸入米でもいい、備蓄米がいい、新米がいい、色んな人がいると思うので、それを政府とかどこかが絞るのではなくて、選択肢をできるだけたくさん提示してあげるのが、本来の自由市場というか、民主、資本主義の基本だと思うんで、そういうことやってほしいなと思います」
【青木源太キャスター】「その点、政府は、もしかしたら農家の方をたくさん見て、もちろん救わないといけない零細農家もあるかもしれないけですけれども、国民、消費者よりも農家の方を政府、自民党は見ていたなという印象ですよね」
【古市憲寿さん】「そうですね。ずっと消費者じゃなくて、なんならこの期におよんで、まだ一部の生産者を見ているわけじゃないですか。もちろん生産者を保護するってこともあってもいいんですけどね、でも圧倒的に消費者の方が多いはずなのに、多いはずの消費者の方見ないで、一部の生産者、農家の方だけをずっと見てきたのかってことは、自民党の体質なのかなと思いますね」
■「政府の迅速対応と食料安保の両立を」石原良純氏が米騒動から浮き彫りにする行政の課題
【青木源太キャスター】「そういった意味では、本当に中長期的な米政策というのも本当に語ってほしいですね」
【石原良純さん】「中長期的なもの、またやるとちょっと話が広がっちゃうんで。この米騒動っていうのは、僕は米だけじゃなくてね、色んなことで、じゃあ何でこれが出てこない。例えば、コロナのワクチンが出てこなかったのも厚労省は何やってんのとか。コメが出ないのは農水省って何？備蓄米って何ででないの？、これ随意契約ってのできないんですよって。大臣変わりました。できたじゃないかって。もっと迅速に動くというか、やっぱり政治家の役目は代表としているわけだから、僕らの生活を安定させる、安心させるっていうことで、そのためにやれるのになんでやんなかったのかっていうことだと思うね。この後に、消費者も大事、それから生産者も大事、どこに折り合いをつけていくんだ。
もしかしたらやっぱりここで、コメの価格が2000円台じゃ成り立たないのかもしれない。これは今度はコメ農家だけじゃなくて、日本の食料安全をどう考えていくのかの中で、やっぱり農家を抜きにしては語れないわけですよ。だからそれをどうして、それが中期的、長期的だし。ただ、この米騒動、もう1回ここで冷静になってみて、コメあるじゃないか。高くて困ってる人がいるかもしれないけど。じゃあ下手をしたら、『あれ、私たくさんなんか買いすぎちゃってるわね』って思う人がいるかもしれない。もう1回、本当にどこに足りないのかってはいいうことを、よく言われてますね。JAの生産量って本当にそれだけコメ作ってたのか。それすらも今はっきりしてきてない。
だから苦労された方もいると思いますけど、本当にこの日本のコメをどうするかっていうことはすごく大事なこと。でも、短期的には、今、生活を僕らが安心して暮らせるようにしてほしいってことでしょうね」
■「“古米”という先入観を捨てよ」石原良純氏が説く食料危機時代の米の価値観改革
備蓄米は古古米や古古古米などと言われますが、どんなお米なのか見ていきましょう。
まず小古米というのは、収穫から1年以上たったもののことを言います。令和5年産が古米と呼ばれます。
同様に収穫から2年以上たった令和4年産が古古米、3年以上だった令和3年産が古古古米。
今回、随時契約して販売される“小泉備蓄米”というのは、古古米と古古古米のことを指します。
日本の米事情これからは、このようになります。
4000円台、5000円台の新米の銘柄米。そして3000円台の備蓄米。これは江藤前農水相が、大臣だった時に出された備蓄米のブレンド米。さらに今回のおよそ2000円の備蓄米、古古米か古古古米ということになります。
小泉農水相は今後、1800円のものも出てくるという話もしています。
【石原良純さん】「でもね、古古米とか古古古米ってあるじゃないですか。古いって字が書いてある。だけど、保管状況が昔と違うわけですよ。だから昔の人は、本当に確かにしょうがなく食べて、おいしくなかったかもしれないんだけど、今の古米、古古米、古古古米。その食べ比べを今日、小泉さんやってましたが、きょう朝モーニングショーで玉川さんが食べてきたって言って、ほとんど分かんないと。僕らそんなに米に対して敏感なのかって、これも分かんない。だからもう、この古米、古古米という言い方やめて、23年米とか、24年産米でいいんですよ。
それでコメを、炊き立てはおいしい、それを冷蔵庫に入れるのか入れないのか、お弁当で持ってくのか、翌日チンするのか、それによっても味は変わる。その時に僕らが、『古米はおいしくない』、『新米の方がおいしい』、『古米なんか食べたものなんじゃない』という概念を1回取っ払って。普通のワインとロマネコンティがあったら、ロマネコンティの方がうまいって言うんですよ。これはそういう“効果”だから」
だからイメージを取っ払って、僕らコメとの向かい合い方を考えた方がいいよと。きれいなものが“良し”とされて、野菜をバンバン捨ててったりしてた。そういうことをやってきた僕らの食生活を見直さないと、もうその一歩先には食料危機っていうものが来てる。来る。で、そういう中で、日本はコメ中心に食料安全保障をやってくんだから、コメに対する僕らの感覚を、もう1回研ぎ澄まさなきゃダメだと思う」
■「日本人の主食観、二分化」 米派VS多様性派の食料安全保障論争
【古市憲寿さん】「なんでこんなにコメに熱くなってるんですか？
【石原良純さん】「コメ無くなったら嫌じゃない？」
【古市憲寿さん】「だって、いまどき別にお米以外たくさん選択肢があるわけじゃないですか」
【石原良純さん】「だから、それじゃない！米を大事にしようよ！」
【古市憲寿さん】「でね、食料自給保障って言うんですけど、なんか食料自給率低いとか言うじゃないですか。でも食料自給率100%の江戸時代って、大飢饉（ききん）がたくさん起こったわけですよ。北朝鮮も食料自給率非常に高いでしょうけど、飢饉が起こるわけですよ。やっぱり100%って危なくて、本当はそこそこの分量を作って、そこそこちゃんと輸入して分散していくことが大丈夫と思うんですね。そこはもっと分散させて輸入とか、自分の国で作るののバランス取った方がいいと思うんですけど、お米だけちょっと今、極端じゃないですか？」
【青木源太キャスター】「でも米に関して、これだけみんな熱くなるっていうのは、私もちょっとわかって。去年、スーパーのお米売り場の棚からお米なくなったじゃないですか。私は底はかとない不安を感じたんです」
【石原良純さん】「そう、そう、そう、不安なんです。不安」
【古市憲寿さん】「いまパスタとかあるじゃないですか。チョコレートとか他の甘いものが」
■「銘柄米vs備蓄米」100人調査で判明！半数以上が高価格帯を選択も価格重視の声も
「旬感LIVEとれたてっ！」名物の緊急100人アンケートの結果を見ていきましょうか。
実際、様々な選択肢がある中で、あなたはどのお米を買いますか？
◆銘柄米（4000円台）…54人
【街の声（20代）】「値段より味、味の方が大事」
【街の声（40代）】「備蓄米はないし、古米はまずいと聞いたから」
◆備蓄米（3000円台）…25人
【街の声（40代）】「ブレンド米ならそんなに味も変わらないと思う、スーパーにあるなら買う」
【街の声（40代）】「あまり安すぎても農家の人が困る」
◆備蓄米（古古米、古古古米、2000円台）…21人
【街の声（20代）】「古米は食べてみたことがない、食べてみたい」
【街の声（70代）】「昔は古古米とかを普通に食べていた。老後の1人暮らし、お腹が膨れれば安くていい」
という結果でした。
【石原良純さん】「これでもさ、結局僕らさ、食べてないから何にも言えないんだよね。本当にまずわからないのか本当にどれだけ味が違うのかっていう話になって、例えばお米の扱い方って、『一番いいなんとかですよ』と言って、これおいしいんだよって、炊いたらすごいまずかったことがあって、1人暮らしでね、1年置いといたのよ。そしたらもうだめなの。精米したてものなんて3カ月以内に食べなきゃおいしくない、そんな当たり前のことを、僕ら知らない人って結構いる」
【青木源太キャスター】「例えばどんな状況で保管されてたとか、精米されてからどれくらいたってるそうかとかにも色々よるということですね」
【石原良純さん】「だからそれも全部本当に分かる、グルメの人は分かるんかもしれないけど、僕らそこまで敏感じゃないはずだから。だったらね、古米、古古米、備蓄米って本当、名前が悪いから、それを食べてみて、『あ、私はこれでいいわ』とか、新米はタケノコが出てきたとか季節のものだと思うんだよ。だからそういうふうに、食に対する向き合い方を変えるというのはいいことなんじゃないかな」
■農家訪問で見えた日本の米事情の現実
小泉進次郎大臣がきのう試食した古古古米、再来週には食卓に並ぶと見られています。
「とれたてっ！」では一足早く、どんな味がするのか確かめようと、古古古米を探して農家さんの所に訪れました。
関西テレビ石田一洋アナウンサーが中継します。
【石田一洋アナウンサー】「古古古米を求め、兵庫県のちょうど真ん中の辺り、お米作りも盛んな市川町へとやってまいりました。このあたりちょうど3週間前に稲が植えられたということで、根が張ったばかりの水田風景が広がっております。こちらの農場を運営されてらっしゃるエヌ・ファームの長尾光弘さんにお越しいただきました」
（Q.古古古米はありますか？）
【長尾光弘さん】「申し訳ございません。ございません」
【石田一洋アナウンサー】「我々も全力でお米屋さんだったり、いろんな農家さんに『古古古米ないですか？』と探して回ったんですけれども、古古古米が見つからなかったということなんですよね。なかなか古古古米は保管、流通用にはないものですか？」
【長尾光弘さん】「我々農家としては、新米を作って、生産者なので作ったお米をいかに食卓へ届けるか。それしか考えてないので、もう全て売り切るようにはしてます。だから残らないですね」
【石田一洋アナウンサー】「できた年にもうすぐに出してしまうことがほとんだということなんですね。ただ、幸運にもというか、偶然にも長尾さんが『ちょっと時間のたったお米だったらある』とうかがいました。今あるのは？」
【長尾光弘さん】「古古米です」
【石田一洋アナウンサー】「古古米は2022年に作られた、きのうから市場に出回り始めた古古米と同じ世代のお米があるということで、ご準備いただきました。こちらが古古米の玄米。見た目的にはあんまり変わらないような気がするんですが？」
【長尾光弘さん】「見た目だけでは判断できないですね」
【石田一洋アナウンサー】「生産者の方から見ても、判断できないくらいということなんですね。気になるのはお味ということで、きょうは古古米の味が、どう新しいお米と違うのかというのを比べたいということで、2つ同時に炊かせていただいております」
■納屋保存の古古米と新米の食べ比べしてみる
【青木源太キャスター】「古古米はどこで保存していたんですか？」
【長尾光弘さん】「去年の秋、新米が取れてから、うちの保冷庫から出して、納屋の中に置いておきました」
【青木源太キャスター】「納屋にあった。常温の状態で保存してた」
【長尾光弘さん】「はい、去年の秋からがきのうまで。常温のままで、納屋の中にありました」
【石田一洋アナウンサー】「政府が保存していた備蓄米は、直前まで保冷庫に入れてあるんだと思うんですけれども、そこから出して時間がたっているという状態の古古米が、どのぐらい味が変化するのかをお伝えしたいと思います」
では、新米（去年の秋に取れたお米）から試食していきます。
【石田一洋アナウンサー】「やっぱり粒も立ってるなという感じがありますけれども、やっぱり開けた瞬間お米のいい香りも来てまいります。こちらは何というお米になりますか？」
【長尾光弘さん】「にこまるという品種になります」。
【石田一洋アナウンサー】「おいしいですね。やっぱり甘い香りがするなというのが1番の第1印象ですね。おいしいです。いつも食べられてるかとは思いますけども長尾さんいかがですか？」
【長尾光弘さん】「いつもよりおいしいです」
【石田一洋アナウンサー】「その心は？」
【長尾光弘さん】「テレビ用です」
【石田一洋アナウンサー】「お米だけをじっくり食べるっていう機会はちょっと少ないですけれども、やっぱこうやってじっくりと味わって食べると、ほんとう甘みがよく出てきておいしいです」
■「食べ比べで判明！古古米の実力」専門家も驚く味の変化と意外な活用法
そして古古米を試食していきます。
【石田一洋アナウンサー】「香りはちょっと違います。これかが良い、悪いというよりは、香りがさっきの新しいお米とは明らかに違うなというのは感じます。実際に見てみますと、見た目的には正直、何も変わらないなという感じがします。両方並べてみると、確かにちょっと黄ばみがかっているような気がしないでもないでもないという所ですね。こちら（古古米）だけ出てくると何も分からないなという感じがしますが、では古古米、私もおそらく初めてだと思いますが、いただきます。香りが全然違いますね。明らかに口に入れた瞬間に甘みが広がったのが新しいお米で、どちらかというとさっぱりした感じがするんですが、どうですか？古古米は召し上がったことありますか?」
【長尾光弘さん】「いや、はっきり言ってないんですよ。ちょっと劣化したにおいがしますね。玄米で保存してたわりには、やっぱり酸化が進んでると思われるので、香りが違いますね。比べると、もう全然違うのは分かります。ただ僕自身も、古古米を食べたことがなかったので、うーん。ここまで落ちるのかというような印象ですね」
【石田一洋アナウンサー】「やっぱり落ちてるような実感がある。正直、私はそんなにお米を食べ比べてるわけじゃないんですけれども、単品で食べる分には正直そんなに問題は感じなかったんですが、やっぱりちょっと味としては変わるという」
【長尾光弘さん】「はい。変わりますね。甘みがないですね」
【石田一洋アナウンサー】「お米だけで食べ比べると、すごく味がよく分かるなという感じなんですが、私個人の感想としては、食べられないとかね、これがおいしくないかと言われると、おいしくないわけではないなというのが、率直な感想でした」
【長尾光弘さん】「そうですね。カレーとかどんぶりもんにするなら全然問題ないかとは思いますけど。ご飯だけを食べるとなるとちょっとうん。『ああ！』って思いました」
【石田一洋アナウンサー】「食べる方が食べれば、ちょっと差が感じられるのかなという、新しいお米と古古米の違いでした」
（関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ！」2025年5月30日放送）
