卓球の世界選手権・混合ダブルスで銀メダルを獲得した大藤沙月選手が30日、ふるさとに凱旋しました。大藤選手が3歳の頃から知っているという地元の人からは、活躍を喜ぶ声が上がっていました。
21歳の大藤沙月選手にとっては、初の世界選手権。吉村真晴選手との「大吉ペア」で臨んだ混合ダブルスは快進撃を見せました。決勝はパリオリンピック金メダリストで前回の世界選手権の覇者を相手に、一歩も引かなかった大藤選手。敗れて悔しさは残ったものの、世界選手権で初の銀メダルを獲得。「実績のある選手と組ませてもらえて大舞台で戦えたことが宝物」と試合を振り返りました。
◆「オリンピック目指したい」
そして、銀メダル獲得から1週間－
倉地恵利アナウンサー：
「大藤選手が福井に帰ってきました。笑顔、そして胸元には銀メダルが輝いています」
凱旋した大藤選手はまず福井県庁を訪れ、杉本知事に混合ダブルスでの銀メダル獲得を報告しました。
杉本知事：「初の世界選手権はどうでしたか？」
大藤選手：「嬉しい気持ちと悔しい気持ちのどちらもあって。女子ダブルスでは世界ランク1位として臨んで金メダルを目指していたのですけど、メダルを逃してしまったのはすごく悔しかったです。でも、まさかミックスダブルスでメダルが取れるとは思っていなかったので、驚きの気持ちと嬉しい気持ち、どちらもあります」
大藤選手は初めて出場した世界選手権での戦いを振り返り、さらに上を目指したいという気持ちが強くなったと話しました。
その中には「オリンピック」という言葉も。
「2028年のオリンピックに出たいという気持ちが本当に強くなって、ダブルス、ミックスダブルス、混合団体と種目が増えたので、いろんなことに挑戦しながらオリンピックを目指したいです」
正月以来、約半年ぶりに地元に帰ったという大藤選手に、杉本知事からはこんな質問も。
杉本知事：「福井に帰ってきて何が食べたいですか？」
大藤選手：「秋吉の串カツと、大野のとんちゃん（大野名物のホルモン）が食べたいです」
地元の話になると笑顔がこぼれる大藤選手。最後に行われたインタビューでも「小さいときに強くしてもらった故郷なので、もっと活躍をして卓球をしている子たちにもっと勇気を与えられるように頑張りたいです」と地元福井への思いを語りました。
◆地元にとって「期待の星」
大藤選手の地元、大野市でも活躍を喜ぶ声が聞かれました。
大野市民はー
「嬉しいです。期待の星ですね」
「山口茜選手のように世界で活躍してほしい。オリンピックでメダルをとってくれるとともっと盛り上がるかなと思う」
「なかなかすごい選手が出たと誇りに思いますね」
「がんばれ！て感じ。とっても嬉しいです。家中で大騒ぎをしていました」
表敬訪問で地元に帰ってくることを伝えると「そうなんですか？えー！お祝いムードで迎えたいですね」と笑顔で話していました。
◆地元で“さっちゃん”と親しまれる大藤選手
大藤選手は幼い頃、大野市のショッピングセンター「VIO」によく通っていたという情報を入手した取材班は、さっそく現地に向かいました。すると、VIO内にある飲食店に幼い頃の大藤さんを良く知る人物がー
「大藤さんは小さい頃からお母さんと一緒によくVIOに来ていたんですよ。前は近くにおもちゃ屋さんがあって、小さい頃からバックヤードで昼寝をしていましたよ」と当時の様子を語ってくれたのは、VIO内の飲食店「ファイン」の長谷川順子さんです。「よちよち歩きの頃から来ていた子がどんどん有名になってね…お母さんもよく来てくれるので、さっちゃんの成績をラインでやり取りしています」
店内には、大藤選手のサインや写真が飾られていました。「去年暮れに帰ってきた時に、おもちゃ屋を通じてサインをもらった」そうです。
世界選手権で銀メダルを獲得したことについては「テレビにかじり付きでしたよ。普通の子だったけど、努力して有名になって嬉しい。親みたいな気持ち。いつも新聞やをテレビ楽しみに、ネットでも検索している」と話します。
久しぶりの地元の凱旋することを伝えると「寄ってくれないかなー」と期待する長谷川さんでした。
◆「プレーで勇気を与えたい」
続いて大藤選手は、メダルを胸に地元の大野市に凱旋。世界の舞台で活躍した地元のスターをひと目見ようと、多くの市民や職員が集まりました。
大藤選手は、自身が所属していた卓球クラブの後輩から花束を受け取ると、満面の笑みを見せました。
その後、石山市長らに大会の結果を報告し、今後の意気込みを語りました。
「18年間続けてきて、勝つ時も負ける時もあるけど、自分のプレーで勇気を与えられるように頑張りたいです」
この後、大藤選手は後輩たちや市長からの質問に答えました。
卓球クラブの後輩：「卓球をしていてモチベーションが下がった時はどうしますか？」
大藤選手：「モチベーションが下がることはないけど、リフレッシュ方法はあって、夜に1人で散歩すること」
石山市長：「大野の魅力は何ですか？」
大藤選手：「こんなに緑が多かったのかと改めて感じて、久しぶりに空気が美味しいなと思いました」
会談後、卓球クラブの後輩は「世界で活躍する卓球選手から意見を聞く機会がなかったので、聞けて嬉しかったです。大藤さんほど強くなれるか分からないけど、いっぱい試合に勝って上を目指したいなと思いました」
スターの凱旋に沸いた地元。地域や子供たちに活力を与える今後の活躍にも期待です。
