2000円台の備蓄米が店頭に並ぶのを前に30日午後2時半過ぎ、小泉農林水産相が神奈川県内にある備蓄米の倉庫を視察しました。

小泉農水相:
これも全部令和3(2021)年産米ですか?

担当者:
3年産米です。

“古古古米”が天井まで積まれた倉庫で担当者の説明に耳を傾けていました。

30日午後3時ごろ、記者団の前で口にしたのは感謝の言葉でした。

小泉農水相:
世界一の管理水準と言っていい現状を拝見して、改めて感謝と敬意の気持ちが強くなった。備蓄米についての国民の安心感につながるのではないか。

現場も急ピッチで動いています。
30日朝、「ドン・キホーテ」の運営会社が委託した精米工場に山積みとなっていたのは袋詰めにされた22年産の“古古米”。

ドン・キホーテでは、週明けにも東京都内の店舗から税抜き5kg2000円程度で順次販売することを検討しています。

また、「イトーヨーカ堂」では31日から東京の1店舗で、6月1日から順次、中京・関西エリアを除く全店舗で販売を始めることを発表しました。

22年産の古古米に続き、30日から始まったのが21年産の古古古米を巡る争奪戦。

農水省は中小のスーパーや街の米店からの申請を受け付けましたが、この“古古古米争奪戦”に大手コンビニの「ファミリーマート」が参戦することに。

ファミリーマート 製造基盤整備部・中里聡信副部長:
3カ月間で1000トン申し込みしました。

ファミリーマートは古古米の申し込みが受理されず、今回の古古古米でリベンジです。

ファミリーマート 製造基盤整備部・中里聡信副部長:
こちらがファミリーマートで販売している1.5㎏のコシヒカリ。今回、ファミリーマートとすると1㎏袋。袋は準備しているのですが。

コンビニで手に取りやすい1袋1kg400円程度で、6月上旬の店頭販売を目指しています。

ファミリーマート 執行役員・富樫信人本部長は「店舗網と配送網を生かして、全国の皆さんにお届けすることに協力したい」と話しました。

一方、30日に24トンの古古古米を申し込んだ東京都内の米専門店「内田米店」。
どれくらいの利益が上がるのでしょうか。

内田米店・内田幸男代表:
(利益は)ほとんど無いのではないか。5㎏1900円で売ると、利益的にはだいぶ圧迫される。

それでも販売する訳について、内田米店・内田幸男代表は「今のご時世なので、安いコメを買いたい方は必ずいるので、それなりに準備しておこうと思う。それと、去年のコメがいつまで売れるか不安もあるので、それを補う意味で備蓄米を売っていきたい」と話しました。

ただ、古古古米の販売を巡っては混乱も。

29日、農水省が行ったオンライン説明会では、できる限り多くの消費者に届けるため参加した小売店に対し、古古古米の販売を飲食店などの業者ではなく一般の消費者に限るよう求めました。

ところが、売る側の米店は…。

内田米店・齋木貴広さん:
どうやって家庭利用なのか業務利用なのか店頭で判断するの?というところが分からないと、いまいち分からない。

内田米店・内田幸男代表:
毎日10㎏ずつ買いに来たら、家庭なのか飲食店なのか見分けがつかない。(Q. 飲食店から問い合わせは?)あります。「買えるのか」っていう問い合わせはかなり来ています。

クローズドで行われた質疑応答では、「どこまでが消費者なのか」などの質問が続出しました。

これに対し、農水省の職員が不適切な発言をしていたことが明らかになりました。

農水省職員:
消費者への販売のことを結構しつこくしつこく聞いてこられるので、食材店の店頭で売ったら、それは一般小売なんじゃないかとか言ってるんで、一般小売と消費者の定義をもう1回言ってあげるのと回答してあげて、会議を終了したいと思うんです。

「しつこく聞いてくる」と農水省の職員が発言したのです。

30日朝、小泉農水相は職員同士の会話だったとした上で不適切な表現があったと認め謝罪しました。

小泉農水相:
嫌な思いをされた参加者の方がいらっしゃったら、大臣として私がおわびします。本当に申し訳ありませんでした。私としては本当にこのスピードと大変な業務量についてきてくれている中で感謝の気持ちしかありませんが、疲れも分かります。だけど、対応は丁寧にしないといけません。

30日に農水省は2回目の説明会を行い、販売するのは一般の消費者のみで飲食店や業者には売らないよう改めて求めました。

内田米店・内田幸男代表:
いろんなところでいろんな物を売れば、それなりに高いコメの需要が減るので、自由米市場が値段が下がってくる可能性がある。

備蓄米が市場に出回ることで、高騰する米価格がどうなるのか注目です。

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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
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