タクシーの車内で売上金などが盗まれる事件が起きました。
不可解な言動を繰り返す男。
ドライブレコーダーが悪質な手口の一部始終を捉えていました。
事件があったのは、5月19日の夜のこと。
青森・弘前市内で停車していたタクシーに、1人の若い男が乗り込んできました。
ニット帽をかぶり、耳にイヤホンを着けた男は「友人と食事に行く予定だが、詳しい場所が分からない」と話し、タクシーを待機させました。
しかしその数分後、「めっちゃ空光ってるじゃないですか」と声をかけ、運転手の視線を外に向けさせると同時に、男は助手席に置いてあったかばんを盗み、逃走したのです。
一瞬の出来事に、最初は盗まれたことに気づいていなかった運転手でしたが、やがて男とともにかばんが消えたことに気づきました。
かばんの中には売上金や運転手自身のお金など、10万円ほどが入っていたといいます。
車内でのやり取りからうかがえるのは、かばんを盗み出すためのこうかつな手口。
男はタクシーに乗り込んで早々、運転手に「1回ドア開けていいですか。俺、肺悪くて」と切り出しました。
逃げることを想定し、後部座席のドアを開けるよう指示。
さらに、自分を警戒させまいと運転手と会話。
その間、標的のかばんの位置を確かめるように、チラチラと助手席に視線を送っています。
そして、運転手が油断した一瞬の隙を突いて、かばんを持ち去ったのです。
被害に遭ったタクシー会社の関係者は「大変な思いをしている人から奪っていくのはやめていただきたい」と嘆きます。
弘前市内では、この1時間後にも別のタクシー会社が同様の被害に遭っていて、警察が窃盗事件として捜査しています。