今や定番となった「ふるさと納税」。
活用する人も多い一方で都市部、特に東京では税収の流出が問題に。額は100億円を超える自治体も出ています。

そんな中、“東京都の巻き返し”を知っていますか?
返礼品が決まるまでの舞台裏、そして東京の魅力が詰まった新たな返礼品を取材しました。

約53億円の流出を受け、2024年から返礼品をスタートした東京・江東区。
この日、区内の事業者を集め、新たな返礼品を決めるための説明会が行われていました。

木材で有名な東京・新木場の魅力を知ってもらおうと男性が提案していたのは、今、流行のサウナ小屋。
世界初の五角形のデザインが特徴です。

他にも、豊洲にある会社は豊洲市場で実際に使用されている長靴を提案。
滑りにくいと好評のものなんだそうです。

江東区シティプロモーション担当・森澤友貴さん:
(江東区には)本当に様々な優れた技術を持っている企業がありますので、そういったところは江東区のPRにつながると思っております。

区の魅力発信やイメージ向上につながるなど条件を満たせば採用されます。

実際に、この説明会をきっかけに返礼品となったものもあります。

それが、「ダンチエール」というビール。
何と名前のとおり、製造しているのは団地の中。
東京都の中でも団地が多い立地を生かした江東区ならではの返礼品です。

味は本格的。
癖のあるホップの味わいと濃厚な深みが特徴で、全国のビール好きの人から注文が入るそうです。

さらに創業100年以上の布団店からは、布団の打ち直しの割引券が返礼品に。

「布団の打ち直し」は、古くなった布団を新品同様に再生できるサービスなんです。

お店に届いた古い布団の綿を取り出し、汚れを取りながらふわふわにほぐしていきます。
そして繊維を真っすぐに整えながら薄いシート状にしていけば、綿の打ち直しは完了。

その後、次々と重ねられ、新しい布の中に詰めて縫い合わせれば完成です。

森製綿所・鴻巣昇さん:
今は(布団店が)どんどん減って、打ち直しをするところっていうのを探されてる方っていうのが結構いらっしゃると思うので、そういう方がふるさと納税をきっかけにうちのサービスを知っていただくのはすごくうれしい取り組みではあります。

結婚祝いにもらったものや親からもらったものなど、思い出のある大事な布団を依頼する人が多いとのこと。

そして、お隣の東京・大田区でも“巻き返し”を図るべく新たな返礼品が次々誕生しています。

中でもリピーターが出始めているという返礼品が「ケトルコーン」。

キャラメルポップコーンカンパニー・新井慶さん:
うちでは国内で数店舗の製法で作る、アメリカで大人気のケトルコーンを作っています。

大きな鉄釜に入れ油と一緒に一気にはじけさせる製法で、砂糖と塩で味付けした甘じょっぱさが特徴のポップコーン菓子です。

ふるさと納税への出品を始めたのは意外な理由でした。

キャラメルポップコーンカンパニー・新井慶さん:
大田区の方にすごくサポートをしていただいているので、こういったところで恩返しできたらなと思って応募させていただきました。この店がもし移転という形になっても、基本的には大田区から転出するつもりはほぼないという形で考えています。

一番人気は店頭で1日5個限定の「ダブルリッチキャラメル」。
また、カラフルに彩ったポップコーンとのセットもよく選ばれるそうです。