大分市が行った入札の予定価格を業者に漏らし落札させた疑いで現職の市議会議員など3人が逮捕・送検された事件についてです。

ここまでにわかった事件の構図と市側の反応をお伝えします。

◆大分市議・山本卓矢容疑者
「自由民主党・山本卓矢です。質問内容を飛ばさずに、最後まで緊張感を持って、質問通告書通り、分割方式で質問させていただきます。よろしくお願いします」

2025年3月の定例会で一般質問に立っていた大分市議会議員の山本卓矢容疑者。

およそ2か月後、公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕・送検されました。

警察によりますと、山本容疑者は2024年5月に大分市が行った指名競争入札で、市の職員から聞き出した秘密事項の予定価格10数件を業者側に伝え、2件を落札させた疑いが持たれています。

落札した業者は大分市の造園工事業「ヒロセ」で、社長の広瀬幸一容疑者85歳と、娘で取締役の阿南美幸容疑者59歳も逮捕・送検されています。

警察は3人の認否を明らかにしていませんが、捜査関係者によりますと、広瀬容疑者と阿南容疑者は「山本容疑者から入札情報を聞いた」と容疑を認めているということです。
一方、山本容疑者は「市の職員から予定価格を聞いた」と供述しているということです。

◆TOS甲斐菜々子記者
「きょう開かれた大分市議会活性化推進会議、 委員の一人である山本容疑者の姿はなく空席となっています」

現職の大分市議会議員が逮捕される異例の事態となった今回の事件。

山本容疑者が所属する自民党大分市連の秦野恭義会長は次のように話していました。

◆自民党大分市連秦野恭義会長
「彼はそんなことができたのかなと、それがもうびっくり。(市議会に)通って2年もしないうちにそんなことできるとは考えられない」

今回、不正な入札により、業者が落札した疑いがあるのは公園などの除草の業務委託です。

市によりますと、入札の予定価格を把握しているのは事務の担当職員のほか、部長と課長に限られ、価格が書かれた書類は厳重に保管されているということです。

それにも関わらず、今回の事件では市議会議員の山本容疑者に市の職員から10数件の価格が伝わったとされています。

事件について、26日足立市長は―

◆足立市長
「市民の皆さんが不安に思われているでしょうから、その点についてはしっかりお詫びしないといけない不安を払しょくするのは解決することだから、事実関係をしっかりこちらで調べていくことが大事」

こう話し、調査する考えを示しました。ここからは事件を取材している山路記者です。

◆TOS山路謙成記者

事件の構図と容疑者の関係をみていきます。大分市の指名競争入札について、山本容疑者は市の職員から非公表である予定価格を聞いて、それを落札した業者である「ヒロセ」側に漏らした疑いが持たれています。

捜査関係者によりますと、山本容疑者と広瀬容疑者は知り合いで、阿南容疑者は社長で父親である広瀬容疑者から指示され、山本容疑者から入札の予定価格を聞いたと供述しているそうです。

さて大分市の入札を巡っては、ごみ収集業務を巡って官製談合事件が起き、市の職員が非公表の予定価格を漏らしたとして、職員4人が罰金刑を受け、元部長と業者の裁判が続いています。

今回の事件でも、市の職員が非公表であるはずの価格を市議会議員である山本容疑者に伝えた疑いがあり、市の入札を巡って、信頼が揺らぐ事態が相次いでいるといえます。

事件の全容解明、そして、市が信頼回復に向け、どのような対策をとるのか注視したいと思います。

テレビ大分
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