サガテレビが制作したドキュメンタリー大賞ノミネート作品「馬に恩返しを」が25日放送されます。現役を引退した競走馬のセカンドキャリアを支援しようと奮闘する江北町の男性の姿を追いました。今回はその一部をご覧いただきます。

町の北西部に位置する牧場「CLUBRIO」。
ポニーのジュジュと現役を引退した2頭の競走馬、鹿毛のシップ、葦毛のホーリー、合わせて3頭が穏やかに暮らしています。

牧場「CLUBRIO」の代表を務める永松良太さん・44歳。
永松さんは2008年に生まれ育った江北町で「CLUBRIO」を立ち上げました。

【永松さん】
「自分と向きあいながらウマと対話するところによってすごい関係性が深くなるところ、心でコミュニケーションを取れるというところがやっぱりウマの一番の魅力」

JRAなどの調べでは2024年には7900頭あまりのサラブレッドが生まれています。
多くのウマは引退や地方競馬へ移籍するなどしてJRA所属の競走馬のうち約5500頭が登録を抹消されています。

永松さんによると現役を引退したほとんどの競走馬は最終的に食肉処分されるか所在不明となり生涯を全うできるウマはわずか1%程度だといいます。

【永松さん】
「引退した馬たちがその後セカンドキャリアとして道が狭いところになってるっていう部分に問題意識を持ちまして、地元江北町でCLUBRIOを立ち上げようと考えた」

永松さんの牧場「CLUBRIO」ではホーリー、シップ、ジュジュ、3頭以外の別のウマたちも暮らしています。
ここには出走する次のレースまで間隔が空く現役の競走馬たちが休息と調整を兼ねてやってきます。
競走馬を預かる間、永松さんは毎朝5時ごろからウマが過ごす「馬房」という部屋を1つずつきれいにしていき、餌を与えていきます。

【永松さん】
「朝型になりましたね。学生の時は朝長く寝ておきたいタイプだったんですけど。何か自然と目が覚める」

CLUBRIOには去年までマックスというウマがいました。マックスは長年永松さんに寄り添い、永松さんのよき盟友でもあり理解者でした。
永松さんとマックスは流鏑馬の騎手とウマとして各地のイベントを回り絆を深めていきました。
永松さんが「CLUBRIO」を立ち上げるにあたって乗馬クラブから譲り受けたのがマックスでした。

【永松さん】
「自分の師匠みたいな性格でした。いろいろと彼から教えていただいたことが多かったなあっていう」

マックスは穏やかな余生を過ごしていましたが少しずつ弱っていき永松さんはある決断を迫られます。

【永松さん】
「彼も最後立てなくなった。寝たきりの状態になってしまって。吊ったりとかできる処置は施したんですけどね。寿命と体力的な所の問題はあって。このまま苦しむんだったら次の日獣医さんを呼んで安楽死の方向にしようっていう感じだった」

安楽死。もともと、自然に寿命を全うさせたかった永松さん。
目の前で苦しむ長年の盟友の姿を見て迷いが生まれます。

【永松さん】
「自分的には自然に返したい思いがずっとあった。でもいざそういう状態になると人間の心理として苦しませたくないっていう心理も出てくる。そことの葛藤だった」

自らの手で盟友の生涯を終わらせるという決断。
永松さんは何が正解か悩みましたが最後は腹をくくり獣医を呼ぶ手はずを取りました。

FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品「馬に恩返しを〜競走馬と作る未来〜」は2025年5月25日日曜日、午後3時からサガテレビで放送です。ぜひご覧ください。

サガテレビ
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