毎日のお料理に使う包丁。
湿気が増えるこれからの時期は、傷みが出やすくなるタイミングです。
気を付けたいところですが、お手入れの方法を知っていますか?
研ぐだけ…と思われがちですが、ポイントがあるんです。
切れないままだと滑ってけがをする恐れもあるうえに、食材の味が損なわれることも。
毎日のお料理を少しでも楽に、おいしくしてくれる包丁の研ぎ方をお伝えします。
東京都内のホームセンターでは、月に約100件の依頼があるという「1本880円で包丁を研いでくれる」サービス。
依頼した女性は、半年に一回、定期的に利用しているといい、プロにお願いする理由は「自分じゃ研げないので。よく角度がなんとかっていう話あるけど、わかんないから。研げてるかどうかもわからない」と話していました。
お客さんの中には、職人さんも。
お願いしたのは仕事で毎日使う刺し身包丁です。
毎日お手入れしているといいますが、その切れ味は?
新聞紙を切ってみると、包丁が滑ってしまいました。
ロイヤルホームセンター・判田治さん:
包丁が滑っちゃう。刺身を切る包丁なので、薄く切るにはもうちょっと切れるようになってた方が使いやすい。
プロが研ぐこと約30分。
仕上がった状態でもう一度新聞紙を切ってみると、刃が触れた瞬間、新聞紙が真っ二つになりました。
トマトで試してみても、スムーズに刃が入っていくのが分かります。
切れ味の落ちた包丁は刃が滑り、けがをしやすくなるだけでなく、余計な力で疲労感も増してしまいます。
そして、味にも変化をもたらすという驚きの研究結果もあるんです。
包丁研ぎを4カ月しない状態でマグロを切った場合、うまみが減ってしまい、ピーマンに関しては苦みが増加するんです。
原因は繊維を壊し、うまみなどが外へ逃げてしまうためだそうです。
できれば家で上手に包丁研ぎをしたいところですが、街で聞くと、「大体これくらいかなっていうので研いでるけど、正確な角度までは知らない」「とりあえず包丁研ぐのを真っすぐ前後に引くくらいのレベルしか知識がない」といった悩みが…。
そこで包丁のプロ、貝印包丁マイスターの林泰彦さんに、家で研ぐ際の大事なポイントを教えていただきました。
まず1つ目、研ぐ際の包丁の角度は「15度で一定に」。
15度は、小指を包丁に挟んだ角度がちょうどそれに当たるということです。
貝印 包丁マイスター・林泰彦さん:
砥石(といし)に対して15度くらいになればいいなというところ。
そして、次のポイントは「バリ(金属の削りカス)が出たかどうか確認する」こと。
研いだ時に「バリ」と呼ばれる金属の削りカスが出てきたら包丁が研げているサイン。
肉眼では見えにくいため、指で触って状態を見ながら研いでいきます。
そして数分間続け、滑らせるように削りカスを取っていけば完成です。
ただ、「砥石はハードルが高い」という方には、研ぎ器がいいかもしれません。
そのコツは…。
貝印 包丁マイスター・林さん:
この辺(一部)だけやる方がいるが、そこだけ削れて包丁が使いづらい形になってしまう。端から端まで通すというのが、基本的に推奨されるやり方。
ポイントをお伝えしましたが、皆さんの気になる包丁についての疑問も聞いてみました。
林さんによりますと、望ましいお手入れの頻度は、目安として1カ月に1回。
そして、包丁の寿命はきちんとメンテナンスしていれば10年以上で、冒頭で紹介したようなホームセンターでのサービスや自宅でのお手入れをうまく取り入れれば長持ちするということです。