岡山県では農家の保管する米の盗難が、2024年11月から少なくとも7件発生し、被害は約3トンに上るという。米の高騰は、“大食いの聖地”と呼ばれるデカ盛りの店にも、深刻な影響を与えていた。

米泥棒…野菜などと保管も盗まれたのは米だけ

取材班が向かったのは岡山市の米農家の納屋。
収穫した米を保管していた貯蔵庫を開けてもらうと…。

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被害に遭った農家(84):
(Q.どのくらい入ってた?)30kgで10袋。

4月16日、この貯蔵庫に入っていた30kgの米袋、10袋全てが盗まれているのに気付いたという。

被害に遭った農家(84):
全部じゃ。今まで60年農家してきて、考えた事なかったもの。ショック、ショック。

貯蔵庫には野菜なども保管していたが、とられたのは米だけだった。

被害に遭った農家(84):
(Q.完全にコメ狙い?)そういうこと。

岡山県では農家の保管する米の盗難が2024年11月から少なくとも7件発生。
被害は約3トンに上る。

“大食いの聖地”悲鳴「営業すればするほど圧迫」

終わりの見えない米の高騰。
“大食いの聖地”と呼ばれるデカ盛りの店、埼玉・川越市の「二代目 蝦夷」にも深刻な影響が出ていた。

運ばれてきたのは総重量1.5kgのからあげ焼き肉丼。
おかずをかき分け、ようやく見えたご飯は600グラムと、約4人前の量だ。

客は「デカ盛りで有名でYouTube見てきた。想像を超える大きさだった」と話す。

この店ではご飯を“マンガ盛り”にする大食い自慢の客も多く、1日30kgもの米を消費する。

二代目 蝦夷・岡安清純店主:
(Q.コメの仕入れ値)30kgあたり3000円上がりました。1カ月で8万円、9万円くらい負担に。

しかし、米が値上がりしても、おかずの量を減らすことはできないという。

二代目 蝦夷・岡安清純店主:
デカ盛りってお客さまを笑顔にしてくれるすてきな料理で、ただ続けていくためにはどうしても今のやり方では続けていけない現状で、本当に毎日葛藤しながら仕事しています。

そこで編み出したのが、定食をやめ、ご飯を単品メニューにする制度だという。

欲しいご飯の量を選びオーダーする仕組みを、5月中に始める予定だ。

二代目 蝦夷・岡安清純店主:
今、営業すればするほど圧迫していくような状況なので。

デカ盛り店にとって死活問題の米の高騰。
頼みの綱の備蓄米だが…。

二代目 蝦夷・岡安清純店主:
(Q.備蓄米)少なくとも僕のところには話はきてないです。毎回(値下がりを)すごく期待しながら待ってるんですけど…。

店頭での米販売量増加へ政府が新たな対策

こうした中、備蓄米流通の円滑化に向けて政府が新たな対策を打ち出した。

備蓄米流通円滑化へ政府が新対策
備蓄米流通円滑化へ政府が新対策

江藤農水相:
集荷した段階で、もう売り先が決まっているわけですから、タイムギャップは相当縮小される。スピーディーになることは当然。

農林水産省は7月までの3カ月間、毎月10万トンずつ備蓄米を放出する方針だ。

新たな対策では、10万トンのうちスーパー向けに4万トン、小規模な米店向けに2万トンの合わせて6万トンの優先枠を設定。

優先枠に入札できるのは備蓄米放出後1カ月程度で、こうした店に販売できる計画を持つ業者に限定するなどして、店頭での販売量増加につなげたい考えだ。

備蓄米「まず試食して、よければ取り入れたい」

こだわりレシピのから揚げが看板メニューの千葉・柏市の「わとか食堂」。

以前はご飯大盛りは無料だったが、2024年9月からプラス100円の有料メニューに。

店にとって苦渋の決断だったご飯の大盛り有料化。
備蓄米の流通が加速することへの期待の声が…。

わとか食堂・髙野紀子さん:
(Q.備蓄米)まず試食させていただいて、よければ取り入れたい。流通量が増えて、単純に手に入りやすくなったり、値段が下がるのであればうれしいことかなと思う。
(「イット!」5月16日放送より)