大阪府警は12日、警察官をかたり高齢者から2億7000万円相当をだまし取る特殊詐欺事件が発生したと発表しました。
■警察官名乗る男から”逮捕状”・”捜索差し押さえ許可状”とされる画像が送られる
大阪府警によると、大阪府内に住む80代の女性はことし4月28日、『総務省総合通信局のハシモト』と名乗る人物から「あなたの電話から、大量の迷惑メールが送信されています。30分以内に電話が使えなくなるので、携帯の番号を教えてください」と電話を受けました。
また、『兵庫県警の山川広人』を名乗る男からSNSでメッセージが届き、「今からする話は、捜査上の機密があり、絶対に誰にも相談してはいけません」と言われ、””機密保持約定書”という、「家族や職場の同僚などに一切口外してはならない」旨などが記載された書類の画像が送られてきたということです。
さらに『兵庫県警の山川』を名乗る男は、「特殊詐欺事件の振込先として使われた口座のうち、一つの口座を犯人があなたから買ったと言っている。あなたには逮捕状が出ており、このままだと、逮捕することになる」と言われ、逮捕状と捜索差し押さえ許可状とされる画像も送られてきたということです。
■およそ2億7000万円相当の金の延べ棒などの貴金属が回収される
さらに『兵庫県警の山川』を名乗る男は、ここから以下のようなやり取りを続けていきます。
<大阪府警の発表より>
【『兵庫県警の山川』を名乗る男】「特殊詐欺事件の振込先として使われた口座のうち、一つの口座を犯人があなたから買ったと言っている。あなたには逮捕状が出ており、このままだと、逮捕することになる」
【女性】「身に覚えがない」
【『兵庫県警の山川』を名乗る男】「逮捕されないためには、私の言う事を聞いてください。口座が不正に使われていないか、調査します」
【女性】<電話で口座番号を伝える>
【『兵庫県警の山川』を名乗る男】「ほかに資産がないか」「貴金属は、犯罪に使われていないか調査する必要がある。全部持ち帰ってください」
【女性】< 金融機関の貸金庫に預けていた、およそ2億7000万円相当の金の延べ棒などの貴金属を持ち出す>
【『兵庫県警の山川』を名乗る男】「こちらで預かり、調査する。調査が終わり問題がなければ、返却する。全ての貴金属を玄関の前においてください。捜査員が取りに行きます。捜査員の顔がばれてはいけないので、家の中で待つように」
【女性】<玄関先に貴金属を置く>
このやりとりの後、貴金属は何者かによって持ち去られていたということです。
SNSでのやり取りの内容に気づいた女性の家族が被害届を提出したことで発覚しました。
警察官などをかたる詐欺事件のうち、今年の被害額としては最高額だということです。
■別の事件も…およそ1億3600万円を振り込んだ男性
同様に警察官をかたる手口の詐欺事件はほかにも起きていて、大阪府内に住む70代の男性はことし3月、警察官や検察官などを名乗る男らから「詐欺事件の振込先口座が、あなたの口座になっている。あなたが容疑者の一人になっている」と電話で言われました。
そして「資金調査のために、お金を指定口座に送金する必要がある」などと説明され、男性は指定口座に15回にわたって、およそ1億3600万円を振り込んだということです。
この事件でも、警察官を名乗った男らは、「秘密保持誓約書」という書類を用意していて、被害者の男性は家族に相談できなかったということです。
特殊詐欺事件においては警察官をかたる手口が増えていて、大阪府警は「捜査の過程で『秘密保持誓約書』を交わすことは絶対にありません。逮捕状と捜索差し押さえ許可状を画像で送信することも絶対にありません」と注意を呼び掛けています。