兵庫県の斎藤知事が12日、パワハラの再発防止に向けた研修を受講し、部下の指導方法や公益通報者保護制度に関する特別講習などが実施された。
今年3月、斉藤知事の疑惑を告発した文書について、県の第三者委員会は業務中に職員を叱責する行為など10件をパワハラと認定した。
県の財務部は、去年12月から知事を含む幹部職員を対象にハラスメントの特別研修を実施するよう求めていましたが、5カ月経っての受講となった。
12日、関西テレビの「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した社会学者の古市憲寿氏は、「社会がパワハラが何かということを整理したほうがいい」と提言し、「日本社会がますます働きにくくなるきっかけになるのでは?」と持論を述べた。

■パワハラ研修はどのような内容なのか
今回のパワハラ研修は3つのテーマに沿って行われる。
【1】パワハラに管理職としてどう対応するか
【2】公益通報者保護
【3】個人情報の取り扱い
第三者委員会の「パワハラ認定」から2カ月近くたったこのタイミングでなぜ、パワハラ研修の受講が今になってしまったのかを関西テレビ・加藤さゆりデスクが解説した。
関西テレビ・加藤さゆり報道デスク:もう少し早く受講するよう勧告も出ていたのですが、多忙という理由で今になってしまった。幹部職員はもともとパワハラ研修をやっていたが、知事は含まれていませんでした。今回改めて、大人数で受講しています。

■「社会がパワハラが何かということを整理したほうがいい」
社会学者の古市憲寿氏は、「社会がパワハラが何かということを整理したほうがいい」と提言し、第三者委員会にパワハラ認定された「夜間・休日でも継続的にチャット」を例にあげて解説した。
古市憲寿氏:社会がパワハラが何かということを整理したほうがいいと思うんです。県職員に対してどれぐらい連絡していいかという問題がありますけど、一方で(連絡をすることで)県の行政のレベルというものは上がるわけじゃないですか。仕事において、本当に土日休日は連絡しなくてもいいのか。それとも土日も連絡する代わりに、平日もフレキシブルに仕事をする環境がいいのか。

■「人によって『どうでもいい・どうでもよくない』が曖昧なこともある」と古市氏
青木源太キャスター:『夜間・休日でも継続的にチャット』は『緊急性がないものもあり、(職員は)精神的に疲弊させた』と第三者委員会から指摘を受けています。緊急性があるものは仕事として当然 夜間でも休日でも連絡するべきだと思います。
古市憲寿氏:人によって『どうでもいい・どうでもよくない』が曖昧なこともある。

■日本社会がますます働きにくくなるきっかけになるのでは
また、古市氏は「県立美術館の夏休み中の休館の新聞報道」を見た斎藤知事が「聞いてない」と激怒したことについて、持論を述べた。
第三者委員会は、斎藤知事が事情を聞かずに叱責し、圧力をかける言動をしたことについて、不適切だと指摘している。
古市憲寿氏:美術館を夏休みに休館するかどうかも、県民からしたら休みでも美術館が開いていたほうがいいという方もいると思うんですよ。知事と県職員の関係ではパワハラかもしれないけれども、県民からしたら行政レベルが上がることもあるかもしれない。
また、「どこまでが圧力で、どこまでが適切な指導なのか」と曖昧だと指摘しました。
古市憲寿氏:全部パワハラって言っちゃうと、日本社会がますます働きにくくなるきっかけになるんじゃないかなと思うんですよね。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年5月12日放送)
