背骨が左右に曲がる「側弯症」。原因は不明で、成長期の10代に発症することが多い。重度な場合は、骨がやわらかい10代のうちに手術することが望ましいという。早期発見のためのポイントを福井大学病院の中嶋秀明医師に聞いた。

約50人に1人が発症

中嶋医師によると側弯症は「正式名称は脊柱側弯症といい、脊柱は背骨、側弯は横に曲がることを指すが、横だけでなくねじれるように曲がるので、見た目が変形する病気」と説明する。「レントゲンの正面で曲がっているところの角度を測って10度以上あるものを側弯症と定義する。ただ、これだけ曲がっていても痛みがほとんどないのが特徴」だという。

福井大学病院の中嶋秀明医師
福井大学病院の中嶋秀明医師
この記事の画像(14枚)

他の病気に伴って発症することもあるが、約8割は原因が分からない特発性側弯症だという。中でも、成長が著しい10代で症状が出始める思春期側弯症が多く、軽度なものを含めると約50人に1人が発症しているとされている。
  
中嶋医師は「小学校高学年から中学生になったばかりの年齢で発症しやすく、8割から9割が女の子。側弯症の発症や進行は、生活習慣とは関係ない」とする。

側弯症
側弯症

手術は10代のうちに

成長期は進行が速くなる傾向があり、半年で5度以上曲がってしまうこともあるが、一般的には成長期が終わると症状が急速に進むことはなくなる。「骨の成長はだいたい17、18歳で終わるが、骨の成長が終わったときに一定の角度以下だったらそれ以上は進行しない。胸の場合は45度から50度、腰の場合は35度から40度が一つの目安。その角度を超えてしまうと、大人になっても年間0.5度から1度ずつ進んでしまう」と中嶋医師。

福井大学病院の中嶋秀明医師
福井大学病院の中嶋秀明医師

側弯症の治療は▼側弯が40度程度まではコルセットを装着する保存療法▼それ以上になると手術が勧められる。

側弯症の治療方法
側弯症の治療方法

側弯症を患っている12歳の女の子のレントゲン写真では、背骨が左右に大きく曲がっているのが見て取れる。中嶋医師は「この子の場合は12歳の段階で、角度が60度ある状態。この状態だと大人になっても進行してしまうので手術が必要になり、背骨にねじを入れ、ねじを棒で連結して変形を矯正して固定する」という。手術は骨が柔らかい10代のうちに行うことが望ましいとされている。「20代、30代になってやっぱり手術をしたいとなっても、大人の骨になると子供の骨と違って硬くなるので、矯正できなくなる。手術の出血も多いし時間もかかり難しい手術になる。側弯症の手術はやるなら10代でやるべき」。

ねじで固定する側弯症の治療
ねじで固定する側弯症の治療

成長期の子供は日頃のチェックを

早期発見のために家庭でできるチェック方法を聞いた。
  
▼両方の手のひらを合わせ、両腕を自然に前に垂らし膝を伸ばしたまま、ゆっくりと前屈し、肩、背中、腰部の順に左右の高さに差があるかどうかを確認

側弯症のチェック方法
側弯症のチェック方法

▼真っ直ぐに立った状態で、肩の高さ、肩甲骨、ウエストラインの高さと突出の程度に左右差があるかをチェック。

側弯症のチェック方法
側弯症のチェック方法

これらのセルフチェックで左右の差があれば側弯症の疑いがある。「側弯症は発症を予防できる病気ではないので、早期に発見して早期に治療をする。特に小学校高学年から中学校の最初くらいの子は、見た目に変わりがないかチェックしてあげることが大切」と中嶋医師。

側弯症のチェック方法
側弯症のチェック方法

  
成長期に発症することの多い側弯症。子供の体の変化を注視し、早期に対応できるようにしよう。

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(14枚)
福井テレビ
福井テレビ

福井の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。