高齢ドライバーによる事故が後を絶たないため、自動車学校と大学院生らが新たな取り組みを始めようとしている。
相次ぐ高齢ドライバーの事故
2023年、北海道・八雲町で起きた事故。
原因はアクセルとブレーキの踏み間違いだった。

北海道・室蘭市では4月16日、70代の女性が運転する軽乗用車がコンビニに突っ込んだ。
この事故もアクセルとブレーキの踏み間違いが原因とみられている。

北海道で65歳以上のドライバーによる負傷事故は、2020年から増加傾向にあり、2025年は3月までですでに8人が死亡、601人がケガをしている。
「危ないことが1回あった。(子どもが)飛び出してきて。子どもがいるのを自分が認識してなかったのがちょっとドキッとした」(75歳の男性ドライバー)
集中力の衰えを感じることがあっても、なかなか車を手放せないのが実情だ。

車を手放せない実情が―
札幌市中央区の桑園自動車学校で行われた調査では、70歳以上の高齢者の半数が「毎日運転している」と回答。
「週3日以上運転している」と答えた人を含めると、7割近くの人が日常的に運転していることが分かった。

「手ぶらならいいんだけど買い物行ったら荷物がある。車を手放すのはちょっと考えられないかな」(75歳の男性ドライバー)
「車がないと行動範囲が狭くなっちゃうんで手放すのはまだまだ先かな」(74歳の男性ドライバー)

桑園自動車学校と北海道大学の大学院生が新たな取り組み
日々の生活に欠かせない車。
こうした現状を踏まえ、桑園自動車学校と北海道大学の大学院生たちが5月15日から新たな取り組みを始める。

70歳以上を対象にした、無料の「高齢者運転支援プログラム」だ。
運転に必要な機能を高めるのが狙いで、約4か月かけて高齢ドライバーにどんな効果が現れるのか、研究する。
「右足を出す時は手をパーにして前に出してください。左足を出す時は手をチョキにしてください」(大学院生の石井美有さん)

2つのことを同時にこなすトレーニングに注目
着目したのは、2つのことを同時にこなすトレーニング。
たとえば手と足で別の動きをする、「頭の体操」だ。

「認知機能と身体機能、2つを合わせて車を運転する必要があるんです。足踏みしながら手を出すとか、デュアルタスク(2つの運動)を模擬的に練習することで、運転技能の向上に役立つのではないかと考えて」(大学院生の渡辺陽裕さん)

試行錯誤を繰り返しプログラムを完成
2024年夏から試行錯誤を繰り返してきた。
アクセルとブレーキを踏み替えるトレーニングでは、ペダルの代わりに空気入れを使うことも考えてみたが―。

「本当の車の運転であんまりペダルを(目視で)確認しないのでは?」
「高齢者の場合は分からないよね。一番の目的は反応スピードだから。そこに筋トレの要素を入れるかどうか」
「80歳の人がやると大変かもしれないですね」(いずれも打ち合わせでの発言)

高齢者にとって効果のあるものになっているのか、何度も話し合いプログラムを完成させた。
「高齢者の方に楽しくプログラムに参加してもらい、安全運転をより長く続けられる機会になればいいなと思います」(大学院生の石井美有さん)
この支援プログラムへの応募の締め切りは5月7日だ。問い合わせは、桑園自動車学校(011-206-7501)まで。
