ギャンブル依存症は自覚したり、周囲から見て気付いたりできるものなのか。
多くの依存症者を診察してきた常岡さんは「依存症かもしれないと自覚して病院に訪れる人はいるが、ケースとしては少ない」と話す。

「(心配した)家族が無理やり連れてきたり、ギャンブル依存症からの回復を支援する『自助グループ』とつながり、そこからの勧めで来院することがほとんどです」(常岡さん)

判断の参考になるというのが、病院でも使われる「LOST」と呼ばれるテスト。1年以内にしたギャンブルの経験で、以下4つのうち2つ以上当てはまれば、ギャンブル依存症の可能性が疑われるそうだ。
・(Limitless)予算や時間の制限を決めない、決めても守れない
・(Onceagain)勝ったときに「次のギャンブルに使おう」と考える
・(Secret)ギャンブルをしたことを誰かに隠す
・(Takemoneyback)負けた時にすぐに取り返したいと思う
家族や友人としてできること
ただし、家族や友人の立場だと気付くことは難しいともいう。田中さんは「依存症者の多くは(依存する)自分を隠して生活するため、身近な人でも見抜きにくい」と指摘。

分かるとしたら、お金を借りようとする、借金返済の協力を求めるタイミングとする。
「あなたが家族や友人であれば、そこで自助グループや病院に連れていきましょう。決して借金返済などの手助けをしてはいけません」(田中さん)
連れていけなかったとしても、つらいときに頼れる場所があること、治療によってギャンブルはやめられることを伝えるだけでも、依存症者の助けになるとのことだ。
依存症が疑われた場合の流れ
ギャンブル依存症が疑われた場合、治療はどのような過程で進むのか。