ギャンブル依存症は、脳の“脳内報酬系”という神経が刺激されて起こる病気だ。

ふとした出来事がきっかけとなり、身近な人がハマる可能性はゼロではないが、もし依存が疑われたらどうすればいいのか。

昭和大学附属烏山病院でアディクション(依存症)外来を担当する精神科医の常岡俊昭さんと、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子さんに聞いた。

待っているのはお金や人間関係の破綻

ギャンブル依存症になると、物事の考え方に変化が起きる。特に目立つのは“自制心が働かなくなる”ことで、負けた額や借金を「ギャンブルで取り返そう」という思考になるという。

自分を追い詰めることも(画像はイメージ)
自分を追い詰めることも(画像はイメージ)
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「色々な人からお金を借りたり、犯罪に手を染めたりしてしまうこともあります。やめたいのにやめられないジレンマを抱え、自死を選ぶ人も少なくありません」(常岡さん)

周囲が放置したりすると、経済的な困窮に陥ったり、精神的に追い詰められたりすることも。家族・友人関係の破綻も珍しくない。

やめられなくなっている(画像はイメージ)
やめられなくなっている(画像はイメージ)

ハマる時点で「周囲を大切にしていない」と思うかもしれないが、依存症者の多くは、自らの意思ではやめられなくなっているのだとか。

「脳の病気なので『損をする』とわかっても、手を出してしまいます。やめられない状態は、風邪の時に咳やくしゃみが出るような“症状”の一つなのです」(常岡さん)

ギャンブル依存症=病気と認めて

そんな状態を解決するためにまず必要なのは、本人や周囲がギャンブル依存症=病気と認識すること。少しでも心当たりがあるなら、疑ってみてほしいという。