2024年に開学した山形・東北農林専門職大学の1期生の実務実習が4月28日に始まった。3年間、農家に弟子入りして実践的な技術や知識・経営哲学を学ぶ。トマトの生産現場での学びの様子を取材した。

ニンニク農家を継ぐ学生がトマト農家で「実務実習」をするのには、将来を展望した明確な理由がある
ニンニク農家を継ぐ学生がトマト農家で「実務実習」をするのには、将来を展望した明確な理由がある
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学生の目標と経営体をマッチングして実習

「おはようございます。きょうからの実習よろしくお願いします」と、元気な声で現れたのは、東北農林専門職大学農業経営学科2年・青森出身の坂本優稀さん。

4月28日にスタートした「臨地実務実習」で、最上町のトマト農家に弟子入りした。

しっかりとした将来像を描き、ニンニク農家がトマト農家に弟子入り
しっかりとした将来像を描き、ニンニク農家がトマト農家に弟子入り

坂本さんは、「実家がニンニク農家で、夏は作業が少なくなるので、その時期にできる野菜を学びたいと思う」と、実務実習への意気込みを教えてくれた。

東北農林専門職大学は2年次~4年次のカリキュラムとして実務実習を行っている
東北農林専門職大学は2年次~4年次のカリキュラムとして実務実習を行っている

臨地実務実習は大学の最も特徴的なカリキュラムの一つで、学生たちは2年次から卒業する4年次までの3年間、同じ実習先で経験を積む。

学生が目指す“将来像”と受け入れ先をマッチングして、実習先を決める
学生が目指す“将来像”と受け入れ先をマッチングして、実習先を決める

県の内外から、350を超える法人が学生の受け入れを希望。1期生43人それぞれが目指す経営体とのマッチングを図り、実習先が決まる。

技術・知識にとどまらず農家としての哲学も伝授

坂本さんを指導することになった“農家のプロ”とまとやよずべぇの小野貴之さんは、味が濃いトマトやサトイモなどを生産している。

坂本さんの実習先・とまとやよずべぇは味の濃いトマトやサトイモなどを生産
坂本さんの実習先・とまとやよずべぇは味の濃いトマトやサトイモなどを生産

小野さんが坂本さんに伝えるのは、農業の技術や知識だけにとどまらない。

「顔を覚えてもらうのが一番必要。商品のファンになってもらうのもそうだけど、自分自身のファンになってもらうことが大事」と、作業をしながら坂本さんに話していた。

「商品だけでなく自分自身のファンになってもらうこと」も農家として大切なこと
「商品だけでなく自分自身のファンになってもらうこと」も農家として大切なこと

小野さんの一挙手一投足や話す言葉は、坂本さんにとってすべて学び・将来の糧になる。
それを理解しているからか、坂本さんの目は真剣で、作業をする手を止めずに耳を傾けていた。

“農業の現場”で実習できる機会は、学生にとっては貴重な時間
“農業の現場”で実習できる機会は、学生にとっては貴重な時間

小野さんが、「若いというのは強み。失敗してもリカバリーできる時間と体力があるのは、僕らにはない武器。いろんなことに挑戦するということを忘れないこと。それをずっと心に持っていてほしい」と話すと、「頑張ります!」と元気に返す坂本さん。

それに「頑張りましょう」とこたえる小野さんとの間には、すでに師弟関係が出来上がっているように見えた。

小野さんは農家の“先輩”として惜しみなく自身の経験や思い・経営哲学を伝える
小野さんは農家の“先輩”として惜しみなく自身の経験や思い・経営哲学を伝える

夢は農産物の海外輸出で年商1億円

坂本さんは卒業後、青森に帰って江戸時代から続く農家を継ぎ、経営の多角化を目指したいと話す。

「質の高い農産物を輸出し年商1億円を目指す」と将来の夢を語る
「質の高い農産物を輸出し年商1億円を目指す」と将来の夢を語る

農業経営学科2年・坂本優稀さん:
トマトもそうだが、ニンニクも海外で需要がある。質の高い農産物を海外に輸出していきたい。そしていずれは年商1億円を目指して頑張りたい。

学生たちは、3年間・計90日間の実習で将来の夢により近づいていく
学生たちは、3年間・計90日間の実習で将来の夢により近づいていく

学生一人ひとりが農林業のプロフェッショナルを目指し、夢に近づくための臨地実務実習は1年間で30日、4年次までの3年間で計90日間行われる。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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