今、関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。4月、岡山市に開設された岡山県内初の公立の夜間中学についてです。取材を担当した竹下さんです。

(竹下美保記者)
「きょう(4月30日)のテーマは「夜間中学」です。この春、岡山市の岡山後楽館中学校に、県内初の公立の夜間中学が開設されました。様々な事情で義務教育を受けられなかった人たちが、「学び直し」を始めました。最年少は17歳、最年長は88歳の12人です。国籍に関係なく、15歳以上の人なら入学できます。週5日、夕方から4時間の授業を受けます。中学校の学習内容を3年間学び、修了すると、卒業証書が授与されます。「夜間中学」の授業を取材しました」

「おはようございます」
「少し疲れも出ていると思いますが、みんでがんばっていきましょう」

〇午後5時25分
「開設されたばかりの岡山市の夜間中学には、岡山市と赤磐市から、12人が通っています。1時間目は理科です。この日は、グループワークをしました。学校側は、生徒の数より多い教職員13人態勢で対応しています。新入生に学び直しをしたい理由を聞いてみました」

(新入生・54歳)
「仕事しながら学校に通っていたので、眠気が勝って勉強にならなかった」
(新入生・17歳)
「中学時代に学校に通えない日が多かったので、夜間中学の話を聞いて、また中学校に通ってみようと入学を決めた」

担任がこちらの28歳、田中先生です。先生も特別な思いがあるようです。

(田中敦望教諭)
「私も学ぶ気持ちがたくさんあって、 授業の中で皆さんが経験したことを言ってくれる」

2時間目は音楽です。この日は、みんなで”ふるさと”を合唱したり、”リズム”について学びました。

「トマト!うん!メダマヤキ!うん!」
「トマト!うん!メダマヤキ!うん!」

楽しそうですね!こんな風に、クラスメートとの交流を楽しみにしている人も多いんです。

(新入生・72歳)
「中学生を味わっていないので本当に新鮮。文字を書くにしても分かったふりをして、分からない時にはつらい思いをしても人には言えずにきたので、やっと学びの場所でスタートできた」

休憩時間は20分。軽食を食べたり、クラスメートとおしゃべりしながら過ごします。

すっかり日が暮れました。この日最後の授業は英語です。先生は・・・・こちらです。

【英語 西原明弘先生(67)】
英語の授業が始まりました。
「アイアムスチューデント岡山後楽館」
「おー素晴らしい」

はい!素晴らしいんです。こちらは、英語を頑張りたいとおっしゃっていた83歳の新入生です。

「アイライクチキン、ユーライクチキン?ミートゥー」
皆さん英語で自己紹介に挑戦しました。ブラボーでした!

(竹下美保記者)
「こうして、4時間の授業を終えて新入生は下校していきました」
「全国には、33の都道府県に、自治体や学校法人が設置した夜間中学が62あります。香川県内では三豊市に、2022年、公立の夜間中学が開校しています。国は2021年に、全国の都道府県と政令指定都市に1つ、公立の夜間中学を設置する方針を打ち出し、岡山市でも準備が進められてきました」

岡山では、8年前からボランティアによる自主的な夜間中学が運営されています。そこでは中学の卒業資格は得られないため、岡山でも卒業の資格が得られる公立の夜間中学の設置を求める機運が高まっていました。

岡山市は、まずは、学び直しの機会を提供する「夜間教室」を、市内の公民館に開設し、夜間中学のニーズを探ってきました。読み書き、計算を学び、仕事や生活に役立てたいと、熱心に「夜間教室」に通う人たちがいました。

2022年、岡山市は「夜間中学の在り方検討会」を立ちあげました。2025年4月に多様性を尊重し、夢に挑戦できる学校の開設を目指す基本方針をまとめました。そして迎えた4月8日の入学式では、81歳のハ・ヤンスさんが、新入生を代表して決意を述べました。

「中学校の勉強をもう一度学び直したい、学ぶことは生きること、私たちはこの決意を胸に今、ここにいます」

(竹下美保記者)
「私も!と思っている人もいると思います。岡山市の夜間中学には、4月の入学に限らず随時入学することができます。基本は3年間の学習ですが、事情によっては、最長6年学ぶことができます。岡山市在住のほかに、岡山市と協定を結んでいる5市3町に住んでいる人も入学できます。

取材を通して感じたことは、”何歳になっても夢に挑戦できる”ということ、様々な事情がある人を尊重しながら、思いやることの素晴らしさです。みなさんと一緒に胸に刻みたいと思います」

岡山放送
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