2023年11月に札幌市で、幼稚園からの帰り道、父親と並んで歩いていた4歳の女の子に脱落したタイヤが直撃した事故。

24日、過失運転致傷と車の点検を怠って運転した道路運送車両法違反に問われた、若本豊嗣被告(51)に、懲役3年執行猶予5年の有罪判決が言い渡されました。

若本被告が運転していた車の所有者であり、違法に車を改造していた罪に問われた田中正満被告(51)には、罰金20万円の判決が。

この判決に対し、「刑罰が軽い」と悲痛な思いを話すのは、事故に遭った女の子の父親です。

被害者の女の子の父親:
手をつないでいる状態で、話しながら歩いていたら、急にぶつかったって感じです。
衝撃が急にあって娘が飛んでいくのが見えて、何が起きたかもあったのかも全く分かってなかったです。(娘の体は)10m近く飛んだんじゃないですか。ぐったりしていたので「大丈夫か!?」って感じで抱き起こして、最初すぐ起きるかなと思ったんですけど…起きないし。顔もだんだん青くなっていたんで、幼稚園に連れていって、幼稚園の先生が心肺蘇生を試みてくれて…。
(娘は)もう意識が戻る見込み、回復する見込みがなくて、戻っても意思疎通はとれない。殺されたと同然だと感じています。

幸せな親子に突然襲いかかった衝撃。事故から1年5カ月たった今も、女の子の意識は戻っていません。

被害者の女の子の父親:
幼稚園のイベントで誕生月に、「将来何になりたいか?」っていうのを発表するイベントがあって。ちょうど誕生月が近づいてきていたので、何回か家で練習したこともあって、その際に「警察官になりたい」って。正義感がちょっと強い…人よりちょっと強い子だったと思うんですけども。

事故を起こした車には、通常より大きなタイヤがつけられるなど、不正な改造がされていました。

車の不正改造について、札幌地裁は「不正改造の中でも、事故の危険性を高める部類の改造で悪質」と指摘したものの、「若本被告は過ちを認め、今後、車の運転をしないと誓うなど反省する態度が認められる」などとして、判決を言い渡しました。

被害者の女の子の父親:
正直に言うと被害者側が受けた、僕らが受けたダメージと、被告2人に対する刑罰っていうのが全然バランスとれてないと感じています。ダメージに対して、刑罰が軽い。
裁判では、被害者参加制度を使って、直接、意見を伝えたといいますが、それが判決にどの程度反映されたのか疑問が残るといいます。
被害者の女の子の父親:
どちら(の被告)も重い罪であってほしいのが自分の考えですね。罰金20万円で済むような罪ではないと思っています。

――被告人たちは、今回の罪に向き合って反省していると思いますか?
被害者の女の子の父親:
それは全く感じてないですね…。
彼らからできるアクションがもっとあると思いますし、被害者側がどれぐらいの傷を負っていて、それに対して自分たちが何ができるのかということを多分、向き合っていないから、ここまで不誠実な対応ができるのかと思っています。

不正改造された車の整備不良から起きた今回の事故。
父親は、車の所有者の田中被告にも、「過失運転致傷罪」を適用するよう検察審査会へ申し立てています。
被害者に億単位の負担…任意保険なく
被害者にのしかかる負担は、精神的なものだけではありません。
父親によると、意識が戻らない娘の介護を続けるためには、億単位のお金がかかる可能性があるといいます。

しかし、今回事故を起こした車には、任意保険がかけられていませんでした。

被害者の女の子の父親:
(損害賠償を)支払う責任は2人にあるので、協力して支払っていく計画であるとか、そういう意思を示してほしいとお願いをしたんですが、こちらがお願いしていたことは一つもしてもらえなかったというのが、自分の認識です。
今、行動を起こしていますけど、本当にそれによって何が変わるのかっていうところは、ちょっとだけ懐疑的になっちゃいますし、何か変わったとしても、娘が元に戻るわけでもないので…。
もう、娘が元に戻らない状況で、一緒に暮らせないのかなというのが、今一番、痛感しているところですかね。
(「サン!シャイン」 4月25日放送)