国内はコメの品薄感と価格の高騰が続いていますが、ここにきて懸念材料も浮上してきました。アメリカ・トランプ政権との関税交渉を巡り、政府内でアメリカ産のコメの輸入を拡大する案が検討され始めています。


農水相「国内生産の減少は国益なのか」

日本はミニマム・アクセス=最低輸入量に基づき、年間約77万トンのコメを関税なしで外国から輸入しています。この輸入米について政府は、トランプ政権との関税交渉の材料として、アメリカ産のコメの輸入を約6万トン拡大する案が浮上しています。
 
赤沢経済再生相は「コメについて色々と報道が出ているのは承知しているが、外交上のやりとりであるので詳細の言及は差し控えたい」としました。
 
ただ、夏の参院選を前に自民党支持層のコメ農家が反発する可能性があり、22日に行われた自公両党の幹部会合では「食料安全保障の確立を最大のテーマとして交渉に臨むべきだ」との方針で一致したほか、江藤農林水産相も慎重姿勢を示しました。
 
江藤農水相:
「もし大量に主食であるコメを米国を含めた海外に頼ると、日本のコメの国内生産が大幅に減少するのが国益なのかは、国民全体として考えていただきたい」
 

JA福井県「政府は安定した米価を保つべき」

今回取りざたされている6万トンのアメリカ産米の輸入拡大についてJA福井県の宮田幸一会長は「影響はそれほどないとは思う」と答えました。
 
一方で、今後のアメリカとの関税交渉には「(輸入拡大が)無制限になり安いコメがどんどん入ってきたら米価が下落するので、しっかり政府に呼びかけていくというのが今のスタンス。しっかり交渉してもらい、安定した米価に保ってもらうのは基本」と懸念を示しました。
 
消費者は「やっぱり国産がいい」「個人的には(米国産は)買わないかな。となると、高い国産のコメを買わないといけなくなる」と話していました。


「日本の農業は廃れる」農家は懸念

一方、関税交渉の中で唐突に飛び込んできた輸入米の拡大に、県内の農家は「驚きましたね。ミニマムアクセス米としてやむなく日本は買っているが、さらに新たなことをやっている。この先、日本で生産するコメの量はどうなるかというと、多分減ると思う」と話します。「国民の皆さんがそれでもいいと考えるならいいが、我々のような農事組合法人も個人も後継者がいないので、そうなると日本の農業は急速に廃れていく」と今後の農業への影響を懸念します。
 
コメの価格高騰が続く中、備蓄米のさらなる放出が値下がりにつながるのか、アメリカ・トランプ政権による輸入米の拡大の動向が、私たちの日々の食卓にどのように影響するのか注視する必要があります。

福井テレビ
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