山形・新庄市の生命保険会社の元女性職員が、うその投資話で顧客から現金をだまし取り、さらに消費者金融のカードを作らせて悪用していた問題で、顧客らに作らせたカードの枚数が50枚を超えていたことが新たにわかった。

住友生命保険の元職員による一連の詐欺事件の被害額は約2800万円にのぼる
住友生命保険の元職員による一連の詐欺事件の被害額は約2800万円にのぼる
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複数の顧客に消費者金融のカード作らせる

この問題は、住友生命保険山形支社新庄支部の元女性営業職員が、顧客などに対し、「謝礼を渡すから消費者金融のカードを作ってほしい」などと持ちかけ、預かったカードで現金を引き出していたもの。

元職員は顧客に消費者金融などのカードを作らせ、預かったカードを悪用していた
元職員は顧客に消費者金融などのカードを作らせ、預かったカードを悪用していた

会社の調べで、被害者は最上地域を中心に28人に上り、不正に引き出された金額はあわせて約2800万円に上ることがわかっていた。
さらに、元職員が顧客らに作らせたカードが「50枚以上」に上ることが、関係者への取材で新たにわかった。

作らせたカードは消費者金融にとどまらず、銀行のカードローンも…
作らせたカードは消費者金融にとどまらず、銀行のカードローンも…

消費者金融だけでなく銀行のカードローンを申し込んだ人もいて、中には1人で4枚のカードを作った人もいた。

悪用されていたことを知らなかった被害者たち

元職員は、名義人に督促がいかないよう「利息の支払い」を長年続けていたが、今回、住友生命保険山形支社が、元職員が保管していたカードと明細書をすべて回収して被害者28人に手渡した。
ほとんどの人が悪用されていた事実を初めて知ったという。

カードを作った顧客に悪用がバレないよう、元職員は長年に渡り利息の支払いを続けていた
カードを作った顧客に悪用がバレないよう、元職員は長年に渡り利息の支払いを続けていた

2010年の1月と9月に消費者金融と銀行のカードを作らされた新庄市の女性のもとにもカードと明細書が届き、借金の残高はそれぞれ約40万円と50万円に上っていた。

元職員が融資可能枠の範囲内で借り入れを続けていた形跡もあり、2025年2月下旬にも消費者金融から1万円、3月中旬には銀行から5000円が引き出されていた。

知らぬ間に、2枚のカードの借金額が合計約90万円に上っていた被害者も
知らぬ間に、2枚のカードの借金額が合計約90万円に上っていた被害者も

覚えのない借金に「泣き寝入りは絶対したくない」

今回、カードをすべて会社が回収したため、元職員による利息の支払いは滞っており、被害者にはカード会社からの督促のハガキが届き始めている。

50枚超えのカードを会社が回収したため元職員による利息の支払いが滞り、カード名義人に督促が届くことに
50枚超えのカードを会社が回収したため元職員による利息の支払いが滞り、カード名義人に督促が届くことに

新庄市の女性は、消費者金融から3月分の利息の支払いを要求され、4月11日に1万5000円を支払った。
女性は「覚えのない借金の返済を続けるのは到底納得できないし、泣き寝入りなど絶対にしたくない」と話している。

信じた保険会社の元職員にだまされ、カードを悪用された被害者の心境は計り知れない
信じた保険会社の元職員にだまされ、カードを悪用された被害者の心境は計り知れない

会社の聞き取りに対し元職員は反省の言葉を口にしていて、自分の親族には「すぐに返せる当てはないが、被害者に迷惑が及ばないよう利息を払い続け、いずれ全額返済したい」と話しているという。

元職員は、会社に対し反省の言葉を口にし、自身の親族にも「全額返済」の意向を伝えている
元職員は、会社に対し反省の言葉を口にし、自身の親族にも「全額返済」の意向を伝えている

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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