夏の参議院選挙を前に、物価高騰などで苦しむ国民のための経済対策、現金給付か消費税の減税かなどを巡り与野党が対立している。
今後の物価高騰対策について、4月19日昼の情報ニュース番組「ドっとコネクト」(関西テレビ)に出演した元通産省の官僚で経済評論家の岸博幸氏は、「現金給付も、このタイミングでの減税もどっちもバラマキだ」とした上で、物価が上がっている現状の景気対策として、『食料品の消費税を“ゼロ”にする』減税が最も効果的だとの見解を述べた。

■各党の経済政策
各党の経済政策についてまとめる。
自民は現金給付案(4万円~5万円)、そして消費税の減税については「言及すべきではない」という立場。
公明は現金給付案(10万円)、さらに消費税減税も検討という立場。
そして立憲民主は現金給付案は選挙前のバラマキだとし、消費税の減税については財源なき減税には慎重な姿勢で議論の行方を見守るという立場。

維新と国民民主は現金給付案はダメだとし、維新は消費税の減税については食料品の消費税率を2年間ゼロに。
国民民主は消費税の減税について時限的に一律5%に引き下げという立場の主張を、それぞれしていた。
しかし、今国会での補正予算案は見送りということに…。

■岸氏「なんらかのバラマキは必要。現金給付はダメ。食料品の消費税ゼロに」
経済評論家・岸博幸氏:
この問題で一番大事なのは、野党は現金給付をバラマキと言ってますが、このタイミングで(夏の参院選前に)減税をいうのも同じバラマキなんですよ。だから今、与野党を通じて選挙に向けてバラマキの主張をしている“バラマキ合戦”が始まっている。
しかしながら、物価は上がってます。これから(トランプ)関税か円高か分かりませんが、それで輸出減ったら景気悪くなります。だから景気対策が必要です。だから何らかのバラマキは必要で、どのバラマキが一番『合理性』あるかなって考えることが大事なんですけども…。

経済評論家・岸博幸氏:
その点から現金給付はダメです。だって、高額所得者に現金あげる必要ないじゃないですか。あげる必要は全くない。
そう考えると次の選択肢は減税になります。
しかし消費税本体(全体)の減税をすると財源がたくさん必要な上にやっぱり高額所得者にメリットがあります。(それを踏まえて)冷静に考えると今、物価が上がっています。その中で一番上がってるのは“食品とエネルギー”なんです。
エネルギーはガソリン代の補助など決まったから、食料品の値上がりを何とかしないといけない。そう考えると消費税の軽減税率8%をさらに下げるっていうのが一番合理性あります。
ちなみに制度の観点からも合理性があるのは、例えばイギリス(の消費税制度)を見ますと消費税本体は20%ぐらいあるんですけど食料品にかかる税率はゼロなんです。日本は消費税10%に対して軽減税率が8%っていうのは高過ぎる。だからこのゆがみを直す観点からも大事と考えると、消費税の軽減税率を例えばゼロにしちゃう。

経済評論家・岸博幸氏:
ちなみに食料品の消費税ゼロにする方が、5万円の給付金を国民全員に配るより安上がりなんです。給付金5万円を国民全員に配った場合は約6兆円かかりますけど、消費税の軽減税率をゼロにしたって年間で4兆円~5兆円で済みますから。そう考えると一番合理性があるバラマキは、消費税の軽減税率を下げることなんです。

また岸氏は、現金給付の場合は将来の不安もあり、すぐに使うとはならず半分以上が貯蓄に回ることを指摘し、過去の実施された現金給付では経済効果は大きくなかったと解説。
一方、消費税の減税の方は2年、3年と続けた場合、さらに効果が大きくなる可能性を述べた。
(関西テレビ「ドっとコネクト」4月19日放送より)