コメどころとして全国に名をはせる新潟。ふるさと納税の返礼品として人気なのは、やはりコメだ。しかし、その返礼品にもコメの価格高騰による影響が出ている。魚沼産コシヒカリの産地として知られる南魚沼市を取材した。

コメ不足でふるさと納税の受け付け停止

2023年度のふるさと納税で57億円以上の寄付額があった新潟県南魚沼市。

そのふるさと納税の返礼品の中で人気が高いのは、やはりコメだが、この返礼品のコメをめぐって想定外のことが起きていた。

南魚沼市U&Iときめき課の小澤明子さんは「順次、事業者の皆様から『取り扱いを停止します』とご連絡をいただいて、随時、“取り扱い停止中”のシールを張っていた」と話す。

ふるさと納税の返礼品カタログ
ふるさと納税の返礼品カタログ
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24年夏以降、全国的にコメの品薄が発生したことで、ふるさと納税の予約が急増。

24年に収穫したコメに関しては、契約する80の事業者のほとんどで販売先が決まったことから、3月にふるさと納税の受け付けを停止している。

小澤さんは「今、申し込みをいただいて、すぐにコメをお届けするということができない状況であるのは大変心苦しいところではある」と嘆いていた。

新米の予約スタート すでに1000件の注文が

その南魚沼市でコシヒカリなどを生産する『ひらくの里ファーム』。青木拓也さんが案内してくれたのは倉庫だ。

「コメを保管している倉庫。いつもだと倍くらいあるが、いま、24年産に関しては早々に売り切れて、今あるコメはみんな予約分で行き先が決まっている」

ひらくの里ファームの倉庫
ひらくの里ファームの倉庫

毎年180tほどのコメを生産し、そのうちの7割ほどをふるさと納税の返礼品に充てている。

通常であれば、前の年に収穫したコメは翌年の8月ごろまで在庫が残るというが、ふるさと納税の注文が殺到したことで、新しく売る分はないという。

このため、まだ田植えすらしていない新米の予約を4月1日から前倒しでスタート。ふるさと納税を含め、すでに1000件ほどの注文が入っているという。

新米の予約を前倒しでスタート
新米の予約を前倒しでスタート

青木さんは「コメがいつまでも安くならないし、いっぱいあるわけでもないという不足感が漂っている。先に、先にで注文される方が多い」と話す。

安定供給へ取り組み強化「コメが求められる時代」

コメの価格高騰については「様々なものの値段が上がる中、これまでコメだけが値上がりしてこなかった」と話す青木さん。

ひらくの里ファーム 青木拓也さん
ひらくの里ファーム 青木拓也さん

コメづくりを続けるためにもある程度は値上げせざるを得ないとした上で、コメの安定供給に向けた取り組みを強化している。

「うちは例年だと、“こがねもち”という品種で加工用米を少し作っていたが、その部分を減らして、主食用米のコシヒカリとか新之助を増産するような感じで考えて作っている」

長く続いたコメ余りの時代も経験してきたからこそ、青木さんは「高まる需要に応えたい」と今年の田植えに意欲を示している。

「コメが求められている時代になってきているので、その辺は率直にやっていてありがたいと思う。気合が入る」

(NST新潟総合テレビ)

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