全国各地で感染が確認されている家畜伝染病「豚熱」 4月、宮崎県では初めて野生イノシシの豚熱感染が確認された。感染が広がると、畜産王国宮崎への影響は計り知れない。養豚場へのウイルス侵入防止のため、県は野生動物の侵入防止対策や消毒の徹底などを呼びかけている。どうやって養豚場への侵入を防ぐのか。野生鳥獣被害対策アドバイザーに聞いた。

宮崎県で初めて確認された豚熱

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宮崎県都城市で4月発見された死んだ野生イノシシが、豚熱に感染していたことが判明した。宮崎県で野生イノシシの豚熱感染が確認されたのは初めて。豚熱は、豚やイノシシがかかる、感染力が強くて致死率の高い家畜伝染病。豚熱対策にはどのようなことが必要なのか。

宮崎市の養豚場を訪れた、鳥獣被害などを研究する室屋敦紀さん。農作物野生鳥獣被害対策アドバイザーだ。イノシシによって農場にウイルスが持ち込まれないよう、敷地の外から柵などを点検した。

アナグマがイノシシの侵入経路を作る

野生鳥獣被害対策アドバイザー 室屋敦紀さん:
アナグマが柵の下に穴をあけると、隙間が空く。そこにできた隙間にイノシシが鼻を突っ込んで、柵を持ち上げる。

室屋さんが県内の別の場所で撮影した夜間の映像を見せてもらった。イノシシがワイヤーの隙間に鼻を突っ込み、簡単にくぐりぬけて養豚場の敷地に入ってくる。

「完全に」囲われているか

鳥獣被害対策アドバイザー 室屋敦紀さん:
柵と潜み場の間に緩衝地帯があるかどうか。もう一つが、柵が完全に囲われているかどうか。これが物理柵も電気柵も共通して言えること。

県内での豚熱の発生に養豚場の経営者は…

パイオニアポーク 有方草太郎代表:
一番には、びっくりした。養豚仲間と情報交換もして、より防疫を徹底しなければと思った。靴、服、車、全てが感染経路になる恐れがあるため、農場以外の土などを絶対に持ち込まないことを徹底することが大切。

緊急防疫会議で生産者に呼びかけ

県内での豚熱確認を受けて、宮崎県は12日、緊急防疫会議を開き、生産者に防疫対策を呼びかけた。会議には、県内の養豚関係者などおよそ100人が参加した。

宮崎県によると、豚熱に感染した野生のイノシシが見つかった地点から半径10キロ以内の    「感染確認区域」には養豚農場が97戸あり、およそ17万4000頭が飼育されている。県は農場へのウイルス侵入を防ぐため、野生動物の侵入防止対策や消毒の徹底などを呼びかけた。

みやざき養豚生産者協議会 長友浩人会長:
正直かなり驚いている。今までも衛生管理をしっかり守りながら、農場はかなり衛生レベルを上げていると思うので、各農場の意識は、またさらに高くはなると思う。

ワクチン散布始まる

宮崎県は16日から、野生イノシシを介した養豚場へのウイルス侵入を防ぐためワクチンの散布をはじめた。ワクチンの散布は、感染した野生イノシシの発見場所から半径10キロを中心に都城市と小林市、高原町で行われる。散布するポイントはあわせて109カ所で、1つのポイントにつきおよそ5平方メートル内に20個のワクチンがまかれる。

1か月後にはイノシシなどがワクチンを食べたかどうか状況を見た上で2回目の散布も行われる。県は散布されたワクチンの持ち出しや、散布場所への立ち入りを控えるよう呼びかけている。

(テレビ宮崎)

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