かちスポ。今回は、緻密な調整で高得点を競うエアライフルの全国大会で優勝した佐賀市の高校生を取材しました。夢はオリンピックで金メダルです。
長時間の集中力と数ミリ単位の緻密な技術が求められるエアライフル。
今年3月に開かれた高校生の全国大会で優勝を果たしたのが佐賀北高校3年の野口雄吏選手です。
社会体育で、週に5回、3時間ほど練習している野口選手。
使う銃の重さは約5キロ。10メートル離れた的に向かって弾丸を放ちます。
エアライフルは的の中心から得点が決められていて、どれだけ中心に近い場所を撃ち抜けるかを競います。
【野口選手】
「的の中心が大体0.5ミリ。そこをずっと打てるように練習している」
野口選手の安定感につながっている理由の1つが揺れの小さいフォーム。
引き金を引く時も、ほとんど体が揺れていないのが分かります。
【野口選手】
「揺れが一番小さくなるタイミングを気にしている。射撃は止まることがない。なるべく揺れが小さいときを狙って打っている」
揺れの小さいフォームを実現するために野口選手が大事にしているのが引き金の引き方です。
【野口選手】
「ゆっくり絞るような形で引いている。変な力が入ってしまうと、ちょっとずれただけで、かなり大きく外れてしまう」
試合では、高い集中力を維持したまま60回も的に向かうため、体力と精神力の両方が求められます。
【野口選手】
「1個1個のルーティーンを毎回同じにするように気を付けている。同じことを繰り返すことが、1番安定した点数につながる」
母の知人の勧めでライフルに興味を持ち、小学校3年生で県の協会が主催する練習に通い始めた野口選手。ジュニアのトップレベルの選手を育成してきた姉川新コーチの印象は…。
【姉川新コーチ】
「体が小さくてこれでできるのかなと。続くんだろうかという不安はあった」
しかし、競技への興味は止まらなかったようです。
【野口選手】
「先輩が立って打ってるのを見て、自分も早く立って打ちたいなと思ってた」
現在の野口選手の平均点数は、616点から620点。
オリンピックの日本代表の最低ラインに残り10点ほどまで迫っています。順調に力を付けていますが、そこにはあるきっかけがありました。
【野口選手】
「おととしの鹿児島国体で、予選の8位までが決勝に上がれる。9位で予選落ちした。初めての国体で雰囲気に気おされた」
この敗戦が大きな転機となり、新たな練習を取り入れます。
それがこちら。銃を構えるだけの練習です。
【野口選手】
「射撃では、銃を支える力が重要。そこはやればやるだけ強化される」
自分なりに取り入れたという特殊な練習はもう一つ。
【野口選手】
「例えば、靴紐をちょっと緩くしてみたりいつも状況が悪いように練習している」
このほか、練習終わりには、50回の腹筋や30分間のランニング。揺れの少ないフォーム習得に向けて筋力や体力の強化に地道に取り組んでいます。
【姉川新コーチ】
「オリンピック選手とかと交流することによって意識が上がってきた。それで腕も上がってきた」
そんな、野口選手の今後の目標は。
【野口選手】
「滋賀国スポで優勝すること。ここで鹿児島のかりを返します。将来はオリンピックで金メダルが取れるように。それを目標にする」