新年度になり、多くの新社会人が新たな一歩を踏み出した。こうした中、2000年以上の歴史を持つ静岡浅間神社でも新米の巫女が神に仕える道を歩み出している。
2年ぶりに誕生した“新米”巫女
2000年以上の歴史を持つ静岡浅間神社で2年ぶりに誕生した新米の巫女・前田百合さん。

静岡市出身で、3月に高校を卒業したばかり。
「七五三や初宮参り、結婚式など人々の祝い事に触れることができるのは貴重な体験だと思い就職した」と、幼いころから慣れ親しんだこの場所で神に仕える道を歩み始めた。
慣れない舞に悪戦苦闘
これから約3カ月間は見習いとして作法や仕事を学んでいくが、その1つが舞だ。

中でも豊栄の舞は巫女にとって基本的な舞で、1年の中でも最も舞う回数が多いことから、この世界で15年のキャリアを持つ西村里菜さんが細かな部分まで動きを伝えていく。
これまでダンスなどの経験がない前田さんにとって舞の習得は大きな試練となり、「(西村さんが)細かな動きを指摘してくれるが1回で直すのが難しい」と話すが、挫けることなくYouTubeを見ながら自宅でも練習に励んでいると言う。
覚えの早さに先輩巫女は感嘆
また、舞以外にも社務所での応対や祈祷など内容が多岐にわたる巫女の仕事。

数多あるお守りの種類やご利益を覚えていくことも大切な業務の1つで、西村さんは前田さんについて「すごく覚えが早いので、とても助かっている」と舌を巻き、「舞も研修の5日間くらいでほぼ完璧に仕上げてくれたのですごい。舞を覚えるのが一番早いかもしれない」と太鼓判を押すと、傍で聞いていた前田さんは「こういう話はあまり聞けないので貴重だと思う」と照れ笑いを見せた。
一人前の巫女になるその日まで
この日はひとりで祈祷を担当。

表情にはかたさが目立ち、前田さんも「お辞儀の角度や立っている時の姿勢、笑顔で参拝者の人に対応するというのは、まだ仕事に慣れておらず意識しないとできないので、そこが慣れてきて段々できていければいいなと思っている」と振り返った。
4月6日に行われた400年以上の伝統を持つ廿日会祭では、あいにくの雨で稚児行列が中止に。

それでも新米の巫女が任される子供たちへのお祓いは行われ、前田さんはその務めを果たすと「自分にとっての巫女さん像に一歩近づけるような1日だったと思う。落ち着いて、明るく、笑顔で参拝者に対応できるようになりたい」と安堵と希望が入り混じった表情を見せた。

いつの日か一人前の巫女になるその時まで…前田さんの奮闘は続く。
(テレビ静岡)