長崎県壱岐沖で3人が死亡した医療用ヘリコプターの事故について、専門家は事故当時のヘリの状況について、「ある程度の速度で水中に突っ込み激しい着水だった」可能性があるとの見方を示している。

速度あり激しい着水だった可能性

長崎県壱岐沖に不時着し3人が死亡した医療用ヘリの事故をどう見るのか、専門家の見解をきいた。九州大学大学院航空宇宙工学部門の東野伸一郎教授は次のように話す。

海から引き揚げられブルーシートに覆われたヘリの機体(2025年4月10日)
海から引き揚げられブルーシートに覆われたヘリの機体(2025年4月10日)
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九州大学大学院 航空宇宙工学部門 東野伸一郎教授:
ある程度の速度がある状態で水中に突っ込むと、(ヘリの機体を)折り曲げるような力が働くので、割と激しい着水だったのかもしれない

フロントガラス割れプロペラ破損

着水したヘリは、唐津市の港に陸揚げされた(2025年4月10日)。機体のフロントのガラスが割れ、プロペラも破損しているのが見て取れる。

ヘリが着水したときの状況について専門家は次のような見方を示した。

九州大学大学院航空宇宙工学部門 東野伸一郎教授:
窓が、前のシールドが両方とも左右ともに割れているように見えるものもあるんですけど、着水のときの衝撃で割れたのではないかという可能性もある。ひょっとして蹴破って脱出されたのかもしれませんけども

救助された機長「不時着を判断した」

一方、救助された機長は、運航会社の聞き取りに対し「不時着を判断した」としている。

機体の不具合について事前に報告がなかったかどうかについて、エス・ジー・シー佐賀航空の中山博樹代表取締役は、「私が聞いている範囲内では聞いておりません。(機長が)どうしても不時着をせざるを得ないと判断し、フロート(浮き)を開くスイッチを入れた、ということは聞きました」と話した。

機長が判断した緊急での着水。ヘリには強い衝撃がかかったとみられる。

救難信号 国交省などに届かず

このとき、ヘリには自動で救難信号を送る「ELT」という機器が付いていたが、国交省などに信号が届いていなかった。

この点について、専門家は次のような可能性を指摘する。

九州大学大学院航空宇宙工学部門 東野伸一郎教授:
(ELTの救難信号について)中のバッテリーが切れていた、あるいは点検は義務付けられていますけども、そのときに適切に点検されていなかった、あるいは手動でもスイッチオンにできるんですが、パイロットの方が生存されて(機体から)出て精一杯で、手動でオンにするというところまで至らなかった、そのどれかでは

ヘリからの救難信号について、国の調査官は「機体が海中で、電波が非常に弱く受信できなかったのでは」などの見解を示している。

(サガテレビ)

サガテレビ
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