9日午後1時過ぎに発動された相互関税の第2弾。トランプ大統領の狙いについて、アメリカ・ワシントンから、FNNワシントン支局・中西孝介記者が解説する。
関税措置はあくまで交渉のテーブルに着かせる「手段」
トランプ氏は8日夜の演説でも「素晴らしい状況だ」と強調し、関税への信念は揺るがない姿勢を示しています。この強気の背景には「緻密な戦略」を指摘する声も出ています。
実際、相互関税の構想は2年前には正式に発表され、第1次政権時の2018年にも同様の発言が確認できます。相当な時間をかけて練り上げられた計画とみられています。
そして強硬な関税措置はあくまで各国を交渉のテーブルに着かせる「手段」で、「目的」は、様々な譲歩を引き出して世界の経済体制をアメリカの利益を反映したものに作り変えることにあるというものです。
トランプ氏は特に衰退したアメリカの製造業復活を訴えていて、投資の増加や企業が次々と工場建設などを発表している状況は、想定通りの展開とも言えます。
トランプ氏は、製造業の復活には「1年半」という期間も示唆しています。経済の混乱など痛みに耐え、2026年11月の中間選挙までには、雇用の増加や工場の建設など目に見える成果を出して支持を広げたい考えと見られています。
ただ、相当なリスクを抱えているとの見方も強くあります。
日本との交渉の行方については、トランプ政権の高官からは「日本は交渉で優先される」などと、好意的な発言が相次いでいます。焦点は農業や自動車分野などになるとみられ、相手の狙いも少しずつ見えてきました。
日本の国益を守りつつも、トランプ氏側を納得させるカードをどう用意し説得できるのか、入念な準備も必要そうです。
(「イット!」4月9日放送より)