岩手県盛岡市の住宅街に現れたクマが、半日にわたり市内を歩き回った。早朝から夕方まで、住宅の庭や線路沿い、さらには市の中心部にまで姿を現し、市民を驚かせた。幸いにも人的被害はなく夕方には無事捕獲されたが、地域住民は緊張の一日を過ごした。

「クマ!クマ!」住民の近くまで迫る

4月2日午前8時半頃、盛岡市青山の住宅街で岩手めんこいテレビのカメラが、IGRいわて銀河鉄道の線路沿いを走り去る1頭のクマの姿を捉えた。

フェンスを乗り越えて集合住宅の敷地に入るクマ
フェンスを乗り越えて集合住宅の敷地に入るクマ
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クマはしばらく線路沿いをうろうろしていたが、その後、軽々とフェンスを乗り越えて県営アパートの敷地内に侵入。

クマの近くに住民の姿が
クマの近くに住民の姿が

すぐ近くには地域住民の姿もあり、記者が「クマ!クマ!クマ!」と大声で注意を呼びかける場面もあった。

記者の方に向かって来るクマ
記者の方に向かって来るクマ

クマは集合住宅の敷地を通って記者のほうに向かってくる瞬間もあり緊張が続いた。

住宅街に現れたクマ、市内を徘徊

警察によると、午前4時50分頃、盛岡市青山の盛岡みたけ支援学校裏側の市道を走行中のドライバーが1頭のクマを目撃した。この目撃情報を皮切りにクマの市街地徘徊が始まった。

わずか10分後には、500mほど離れたIGR青山駅近くでも通行人によってクマが目撃された。さらに1時間後には、駅から400mほど離れた青山町踏切付近で警戒中の警察官にも目撃された。

クマの出没は、住宅の敷地内にまで及んだ。

午前7時頃、盛岡市青山の住宅で住人が撮影した映像には、庭でうろうろするクマの姿が捉えられていた。線路側からフェンスを乗り越えて庭に進入してきたという。

自宅の庭で目撃した住人は「よく見たらクマだった。後でゆっくり考えたら危ないという気はした」と振り返る。

このわずか数分後には、150mほど離れた別の住宅でもクマが目撃されている。その住人は、「地面のにおいをかぎながらうろうろして通り過ぎた。外ではきょうは遊ばないよう子どもに伝えた」とその時の様子を語った。

盛岡市材木町の北上川沿いを歩くクマ
盛岡市材木町の北上川沿いを歩くクマ

寺の墓地に逃げ込むクマ

午後1時半すぎ、クマは盛岡市材木町に姿を現した。カメラマンがクマを発見。「来た来た、いるいる」

クマの出没に、周辺の通りは一時騒然となった。

クマはそばにある寺の敷地に逃げ込むと墓地の中を徘徊し始めた。疲れたのか、時折腰をおろして休むような姿も見られた。

木の上に座りこむクマ 猟友会や市の職員らとにらみ合い
木の上に座りこむクマ 猟友会や市の職員らとにらみ合い

そしてクマは逃げ場を失ったのか木の上に上り、現場に駆けつけた猟友会や市の職員らと木の上からにらみ合いが続いた。

3時間に及ぶ攻防戦、ついに捕獲

盛岡市動物公園ZOOMOの園長がクマに麻酔の吹き矢を打ち込み、捕獲を試みた。

寺に逃げ込んでから約3時間後、ついにクマは捕獲された。午後4時すぎ、クマが木から落下し、市のスタッフや猟友会の人々によって運び出された。

盛岡市環境企画課の渡辺聡課長補佐は、「今回かなりの距離を移動している状況。いずれ(人への)被害がなかったことが重要」と語った。

目撃されたクマは同じ個体とみられる
目撃されたクマは同じ個体とみられる

今回のクマの出没では、幸いにも人への直接的な被害は確認されなかった。しかし、盛岡市前九年の住宅で網戸を壊される被害があったという。

目撃されたクマは全て同じ個体とみられており、捕獲後は市内の山に放されるという。

(岩手めんこいテレビ)

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岩手めんこいテレビ
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