そこで、トレーニングです。
「いいね(好意)」「すごいね(賞賛)」「ありがとう(感謝)」
この3つの言葉を口癖にするようにしましょう。「好意」「賞賛」「感謝」は、褒め言葉の3要素です。これがいつも口から出るようにトレーニングしておくことで、「褒めること」に慣れ、「人のいいところを承認する職場」がつくられていきます。

誰かを褒めることにモヤモヤしているなら、まずはこの3語を職場で積極的に使うようにしていきましょう。
具体的な方法としては、「つぶやくことから始める」こと。いきなり、大きな声で「いいね!」「すごいね!」「ありがとう!」と言い出したら、職場の人に相当な違和感を与えてしまうでしょう。
まずは、相手が真面目に資料検索をしているなどの「具体的な行動」、時間を守るなどの「仕事への姿勢」、そして、「過去と比較」してよくなっていると思う部分を発見し、「いいね」「すごいね」「ありがとう」と自分に語るようにつぶやく。その声をだんだんと大きくしていってください。
(1)具体的な行動…
(例)「集中して資料を調べているね、すごいね」
(2)仕事への姿勢…
(例)「いつも時間をしっかり守ってくれてありがとう!」
(3)過去との比較…
(例)「去年と比べて資料の修正箇所が減ったね、いいね!」
ビジネスにおける「褒める」は、言語的報酬といわれるもの。その報酬を与えられる癖づけを自分にしていきましょう。
若手の多くは、褒めてくれる大人の絶対数が少ないなかで育ってきた。だから、リーダーの「褒め」は大切な言葉なのです。
青山学院大学の陸上競技部が駅伝で常勝チームになったのも、原晋監督の、学生たちの長所を伸ばす力が卓越していたからに違いありません。
甘やかすのではなく、長所の宝探しをする。そんな気持ちで接してみてください。

ひきたよしあき
コミュニケーションコンサルタント。大阪芸術大学放送学科客員教授、早稲田大学招聘講師。(株)SmileWords代表取締役。スピーチライター。『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)など著書多数。世代や職種を超えて、自分と相手を笑顔にするコミュニケーションの重要性を日本全国に伝えている。