車両同士の追突事故の影響で一部区間で運休していた熊本市電が、3月27日朝から全線で運転を再開した。大西熊本市長は「避けられた事故だった」と話し、市政のトップとして市電の安全と信頼の回復に努めると強調した。
追突事故の熊本市電が全線再開
3月25日朝、熊本市中央区の『熊本城・市役所前電停』で停車中の車両に、後ろから走ってきた車両が追突する事故が発生した。

この影響で市電は『水道町』と『辛島町』の間で運休となっていたが、「車両とレールの安全が確認された」として27日朝の始発から全線で運転を再開した。

利用客は「区間運休になる日がこの半年間多かったので、ちゃんと運行してもらえるとありがたい。朝の通勤時が困るので」や「(運休中は)距離を歩かないといけなかった。今後も安全運転に徹していただきたい」と話した。
けが人が7人から15人へと訂正
事故から2日、新たな事実も分かってきた。熊本市はこの事故によるけが人を、当初7人と説明していたが、3月27日午後4時半時点で15人と訂正。新たに乗客8人が首の痛みなどを訴えて、医療機関を受診したという。

また事故原因については、交通局の規定では前の車両との距離が100メートルになった場合、時速15キロ以下で走行するよう定められているが、事故を起こした車両は時速27キロで走行していたことが、ドライブレコーダーから分かったという。

交通局は「断定的なことは言えない」としながらも、この『速度超過』と『レールに付着していた〈油のようなもの〉』が事故の原因ではないかとしている。
大西熊本市長「避けられた事故」
緊急で会見を開いた熊本市の大西一史市長は「カーブから前方の車両は視認できていた。避けられた事故。運転士の速度超過もあった。外部からエキスパートを招いて、徹底して交通局の意識を変えていく必要性に迫られている」と述べた上で、自らも含めた関係者の処分を検討する考えを示した。

国の運輸安全委員会は『油のようなもの』の成分を分析するなどし、事故の原因を特定する方針だ。
(テレビ熊本)