新型コロウイルス対策の補助金をだまし取った詐欺の罪に問われている、岩手県雫石町にある老舗旅館の元社長の男に、盛岡地方裁判所は2025年3月26日、懲役7年の実刑判決を言い渡しました。
判決を受けたのは、岩手県雫石町の旅館「長栄館」の元社長・照井貴博被告(38)です。
判決によりますと、照井被告は2021年3月から約2年の間に、農林水産省や観光庁が管轄している補助金をだまし取りました。
この補助金は本来、新型コロナウイルスの感染拡大により、窮地に陥った生産者や観光地を支援するためのものです。
照井被告は、うその見積書や納品書を作成して岩手県産黒毛和牛を調達する取り引きがあったように装ったり、長栄館の改修工事の代金を水増したりする手口で補助金の申請を不正に行っていて、だまし取った金額は合計約4億2500万円に上ります。
3月26日の判決公判で盛岡地裁の中島真一郎裁判官は、「長栄館は、建物の前に架かる橋の工事が遅れて団体客の受け入れが困難な時期が長引いた上に、コロナ禍が追い打ちをかけ経営は危機的状況に陥り、窮地を脱するために犯行に及んだ」と動機を指摘し「このような不測の事態が事件の一因になったことは否定し難い」と述べました。
一方で、「これらの事情が非難を弱めるとしても限度がある」とした上で、「反省の態度を示していることや約5000万円の被害弁償をしていることを考慮しても、刑事責任は重大だ」と結論付けました。
この上で、照井被告に懲役7年の実刑判決を言い渡しました。(求刑:懲役8年)