3月のこの時期としては過去10年で最多の患者数となっている「感染性胃腸炎」。

25日放送の関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」では、感染症を専門とする宮下修行医師に、感染が広がっている原因と対策について聞いた。

関西医科大学附属病院 宮下修行医師 関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
関西医科大学附属病院 宮下修行医師 関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
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■ノロウイルス・サポウイルスなど原因で起きる感染性胃腸炎

対策について、感染性胃腸炎に特効薬はなく、症状をしのぎながら「ウイルスを出し切る」ことが基本的な対応であると、宮下医師は話した。

関西医科大学附属病院 宮下修行医師:基本的に何が困るかというと、お薬がありません。嘔吐と下痢が2~3日続いて治るというパターンです。ウイルスを出し切ることが重要です。小腸で増殖しますので、やっぱり出し切らないといけないです。

原因としてノロウイルス、サポウイルスなどがあるが、症状は同じなのだろうか?

関西医科大学附属病院 宮下修行医師:胃腸に炎症を起こしていきますので、胃腸の炎症の症状の一つは下痢であったり嘔吐というところですので、これはほとんど一緒です。

関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より

■宮下医師が見る感染流行の2大理由「大寒波」と「トイレでスマホ」

宮下医師の見立てによると、感染流行には大きく2つの理由があるということで、まず一つ目の理由は「今年2~3月の大寒波」だという。

関西医科大学附属病院 宮下修行医師:微生物には暑い時に増える微生物と、寒い時に増える微生物があります。感染性胃腸炎の原因となる、例えばノロウイルスは寒いのが大好きで、寒ければ増殖速度が速く増殖しやすいことになります。その後の乾燥によって舞いやすいというところもあります。

「大寒波」と「トイレでスマホ」
「大寒波」と「トイレでスマホ」

もう一つの理由が「トイレでスマホ」ではないかという。スマホに菌が付着するのだろうか?

関西医科大学附属病院 宮下修行医師:例えばトイレの電源スイッチのところであったり、ドアノブといったところに付いているんです。そこで(菌が付いたところに)触ってしまった手で、スマホに触ってしまうと、やはりウイルスが付いてしまう。あと滑らかなところや硬いところにウイルスが付着しやすいというのが分かっています。

さらに感染性胃腸炎に感染する人の20パーセントは無症状であることも、感染拡大の理由だという。

関西医科大学附属病院 宮下修行医師:5年前にコロナがものすごく流行しました。なぜコロナが流行したかというと、無症状の方がうつしていたということが分かっています。下痢がない、嘔吐がない方でもウイルスを保菌している方がいる。

(Q.なぜ無症状ですむ人がいるのか?)
関西医科大学附属病院 宮下修行医師:これは免疫ですね。体の中の免疫が強い人、弱い人によって大きく分かれます。ですからやはり高齢者になればなるほど、感染しやすいというところがあります。

関西医科大学附属病院 宮下修行医師
関西医科大学附属病院 宮下修行医師

■街の人の予防策をジャッジ ノロウイルスに「アルコール消毒は×」

街の皆さんもそれぞれ対策をしているようだが、その対策が正しいのかどうか、宮下先生にジャッジしてもらった。

まず「アルコール消毒液を使うようにしている」という方について、宮下先生のジャッジは「×」だった。

関西医科大学附属病院 宮下修行医師:コロナには有効で、その他の細菌にも有効です。けれどもノロウイルスに関しては次亜塩素酸という、家庭でいうと漂白剤ですが、このタイプのものでないと失活できないことが分かっています。

スマホの画面については、水分を含むもので拭くことで機器に悪影響がある恐れもあり、まず菌が付かないように手洗いをした後でスマホを触るようにするのがよいということだ。

街の人の予防策を宮下医師がジャッジ
街の人の予防策を宮下医師がジャッジ

次に「孫が残したもの食べないようにした」という話について、宮下先生のジャッジは「○」だ。

関西医科大学附属病院 宮下修行医師:これは基本ですが、ウイルスというのは吐物や便の中に多量にあります。そうじゃないものに関しては、特にそこまで神経質になる必要はないと考えていただいて結構です。

食べ残しについては、もう一度焼くとか電子レンジで加熱する対策も有効だということだ。

「たまごを調理する時に水で洗うようにしている」という方が街頭インタビューで複数いたのだが、この対策の宮下先生のジャッジは「○」。

関西医科大学附属病院 宮下修行医師:スマホもそうですけど、硬くザラザラしてないところにウイルスが付着しやすいわけですので、洗い流すということは正しいと思います。たまごそのものに、もともと付いているわけではないですが、当然ながら手が汚染されていればそこから付きます。

街の人の予防策を宮下医師がジャッジ
街の人の予防策を宮下医師がジャッジ

■「なにもしていない!手洗いだけ」という人にジャッジは「○」

そして最後、番組出演者から「なにもしていない!手洗いだけ」という話が出たが、これについて宮下先生のジャッジは「○」だった。

関西医科大学附属病院 宮下修行医師:これがもう一番正しい方法です。手洗いが最も重要です。これはコロナの時に我々も学びました。適度というより、やりすぎて悪いことは全くありませんので、手洗いは重要なポイントだと思います。水洗いでもいいのですが、当然せっけんがあれば、せっけんのほうが良いのは間違いないです。

感染性胃腸炎に関しても、「手洗い」といった基本的な感染予防対策が大事だということだ。皆さん十分に気をつけていただきたい。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」3月25日放送より)

予防策として「手洗い」は「一番正しい方法です」と宮下医師
予防策として「手洗い」は「一番正しい方法です」と宮下医師
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