北朝鮮で20日、多数の「人民班長」の女性が集まる会議が開かれ、金正恩総書記との大規模な記念撮影が行われた。人民班長は各地域で住民を監視する組織とされ、住民統制を強化する狙いがあるとも指摘される。

専門家は、この撮影会について、“金正恩離れ”を防ぐ狙いがあるとみている。

色とりどりの衣装で人民班長が集結

女性たちが伝統衣装を身にまとい、喜びを爆発させている。金正恩総書記に握手を求める姿は、スーパースターに群がるファンのようだ。

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金正恩総書記が「人民班」の班長たちと記念写真を撮影した時の様子だ。

広場に続々と集まる女性たちは、色鮮やかな衣装で表情も晴れ晴れとしている。そこに到着した黒い車から姿を現したのは、金総書記だ。

女性たちは、両手を挙げ大歓声をあげている。金総書記の登場で、テンションは頂点に達した。

一緒に行われた記念撮影
一緒に行われた記念撮影

そして、一緒に記念撮影が行われた。よく見ると、ひな壇は15段ほどあり、一度に写真に収まった人数は約750人にものぼる。多すぎて誰が誰だか分からない。

朝鮮中央テレビは金総書記が20日、行政の末端組織である「人民班」の班長会議に参加した市民たちと会い、記念写真を撮影したと伝えた。この女性たちは、「人民班」の班長だ。

「人民班」とは、各地域で数十世帯からなる行政組織で、班長は専業主婦など主に女性が務めている。

2024年、朝鮮中央テレビが放映した人民班長を紹介した番組では、コロナ禍に、各家庭に医薬品などを渡した人民班長を「新型コロナウイルス感染症の戦士」と称えていた。

住民の私生活や動向を監視…当局へ報告の役割も担う

その一方、人民班長は住民の私生活や動向を監視し、当局に報告する役割も担っているとみられている。

甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授:
(人民班長は)警察のように法的に処罰する、そういう怖さではないが、逆に警察よりも生活に密着した部分で常に監視をしている、そういう存在なので別の怖さがあると思います。

班長会議の開催や、金総書記との記念撮影の狙いについてはこう推測する。

甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授:
今回の人民班長を集めた会議は、すごく久しぶりに開かれました。しかも金正恩総書記になってから初めての大会です。“金正恩離れ”みたいな、そういう風潮が広がらないようにすごく気にかけている。

人民を統制するための一番根本的な単位をガッチリ掴もう、掌握しようという狙いがあるのではないかとみられる。
(「イット!」3月21日放送より)

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