寺の土地が差し押さえられるのを免れるため、土地を売買したと装う虚偽の登記をした罪などに問われ、1審で懲役2年6カ月の判決を受けた元住職。
■【動画で見る】「だまされされたといっても罪重い」"虚偽登記"の罪問われた元住職

控訴審で、大阪高等裁判所は控訴を棄却した。元住職は即日上告している。
■「正圓寺」元住職の被告が差し押さえ免れようと虚偽の売買登記した罪など問われる

大阪市阿倍野区にある「正圓寺(しょうえんじ)」の元住職・辻見覚彦(つじみ・かくげん)被告(57)は、2018年、境内に建設しようとした特別養護老人ホームが原因で寺の資金繰りが行き詰まり、建設会社に寺の土地が差し押さえられるのを免れるために、別の被告の会社に、土地を売買したように装う虚偽の登記をした罪などに問われている。
起訴されている罪名は次の通りだ。
・電磁的公正証書原本不実記録・同供与
・公正証書原本不実記載・同供用
・詐欺
■事件主導した不動産会社の男ら3人も起訴 「寺の土地乗っ取り狙ったか」
正圓寺の土地取引などをめぐっては、これまでに辻見被告のほかにも、事件を主導したとされる不動産会社の男ら3人が逮捕・起訴されている。


関係者などによると、正圓寺の土地には路線価数十億円の価値があるとされていて、土地の乗っ取りを狙った事件の可能性もあるということだ。
■「住職として犯行に不可欠な役割だった」と1審は懲役2年6カ月の実刑判決

元住職である辻見被告の裁判は先行して進んでいて、2024年10月、大阪地裁(中井太朗裁判官)は「住職として犯行に不可欠な役割だった」などと指摘。
懲役2年6カ月の実刑判決を言い渡したが、辻見被告はこれを不服として控訴していた。
■2審は控訴棄却 懲役2年6カ月の実刑判決を維持

そして3月4日に開かれた控訴審の判決公判で、大阪高裁(坪井祐子裁判長)は「犯行は、寺の乗っ取りを図った共犯者が発案したもの」と述べたものの、「被告自身が寺を危険にさらすことをしていて、犯行の動機は大きな非難に値する。被告は共犯者に騙されていたといってもその責任は重い」などと指摘。
控訴を棄却し、1審の懲役2年6カ月の実刑判決を維持する判決を言い渡した。
■辻見被告は即日上告も…正圓寺は檀家が離れ窮地に
その後、関係者によると、辻見被告は大阪高裁の判決を不服として、4日午前に即時上告した。

事件が起きた正圓寺は現在、住職不在などで檀信徒離れが深刻化している。
(関西テレビ 2025年3月4日)