都立公園のなかでも、人気の高い、日比谷公園と葛西臨海水族館で大規模な改修・整備が行われている。

明治36年に近代的洋風公園として開園した日比谷公園。現在10か年計画で大規模な整備が進められている。

2023年度からスタートした1期目の工事は、日比谷門を入ってすぐ右側の第二花壇周辺。かつて伊藤博文公の国葬が行われた場所だ。去年整備が完了し、芝庭広場としてオープンした。

再整備のコンセプトの1つが、開園当時に出来る限り戻していくというもの。

有楽門の石垣は、開園当時のまま江戸城の石垣が残されている。石垣の保存や園庭を開園当時になるべく近づける改修工事が行われる予定だ。

三笠山では、一部改修して保存しつつ、授乳やおむつ、雨天でも遊べる施設を新たに設置するほか、40年が経過し老朽化が進んでいる野音・大音楽堂も改築され周辺が一体的に再整備される。

公園へのアクセスも向上される。交通量の多い日比谷通りに2カ所、道路上空公園と呼ばれるデッキが、内幸町側と有楽町側に新設される予定だ。

公園を散歩していた2人組の女性は、「都心に緑の多い公園が残されているのはとてもいいことだと思う。」「アクセスが良くなるのはいい。便利になるのはうれしい」と話していた。

葛西臨海水族園でも大規模な再整備が進められている。開園から30年以上が経過し、施設の老朽化やバリアフリー対策など様々な課題が生じているからだ。

水族館の心臓部ともいえるろ過器の交換が難しい構造になっているほか、エスカレーターのみの出入り口や飼育スペースの不足などがその具体例だ。

そこで新しい施設を敷地内に建設している。建設現場では、なるべく樹木を伐採しないよう、樹木を重機で吊り上げて園内の他の場所に移植する作業が行われていた。

新しい施設の目玉は、やはりクロマグロが群れで泳ぐ大水槽だ。現在の大水槽からさらに魅力をアップさせ、海中を泳ぐダイバー視点で体感できる展示になるという。

そのほか、南極や北極の環境を最先端技術で体感する極地・深海展示などのコーナーも作られる予定だ。

子ども2人を連れて水族館を訪れていた母親は「新しい施設ができるのは楽しみですね。個人的にはクラゲが好きなのでクラゲの展示を増やしてほしいです」と話していた。

また、葛西臨海水族館の象徴の1つ、ガラスドームも保存される。どのように活用されるかについては今後検討されていく予定だ。

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局社会部
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長、国際取材部デスクなどを歴任。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。