福島県特有の気象状況を読み解き、独自の予報で県民の暮らしと命を守る天気予報を発信する福島テレビ・斎藤恭紀気象予報士。
今回は、かつて所属していた民間の気象情報会社へ。
そこでは、シビアな気象現象を事前に掴み取る技術を向上させていた。

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
千葉市のウェザーニューズ本社に、特別に許可を得て入らせていただいています

福島テレビ・斎藤恭紀気象予報士:
世界中の気象データがこの場所に全部集まってきて、予報を作る場所です

1986年に設立された国内最大手の民間の気象情報会社「ウェザーニューズ」。
1,000人を超える従業員が24時間体制で、放送局はもちろん、鉄道・道路・航空業界に気象情報を提供している。

社内にはさまざまな画面が並んでおり、世界中の今・どこで・どれだけ強い雨が降っているかなど、一目で分かる仕組みになっている。

線状降水帯は予報できるのか?

予報の中でも特に難しいとされるのが、同じ場所で大雨が続く「線状降水帯」。

熊本県などで大規模な災害となった2020年7月の豪雨。
気象庁は24時間雨量を実際の半分以下の200mmと予報していて、「実力不足」と振り返った。

一方、ウェザーニューズはどう予報していたのか?
予報歴27年のベテラン気象予報士・宇野沢達也さんに疑問をぶつけた。

福島テレビ・斎藤恭紀気象予報士:
実際に線状降水帯の雨の予測はできなかったのでしょうか?

ウェザーニューズ・宇野沢達也さん:
結論から言うと、今回線状降水帯が発生して、あれだけの豪雨になった場所を、ピンポイントで特定することは、例えば前日の段階だと厳しかったと思うんですよ。ただし、線状降水帯により想定される雨量は、時間単位でいうと100mm以上、積算で言えば500mm以上…それはある程度予測できたのだと思うんですね

福島テレビ・斎藤恭紀気象予報士:
熊本・人吉市で例えば1時間100mmは予想できないけれども、人吉を含めた熊本県から、例えば鹿児島県の北部にかけては、そのくらいの雨のポテンシャルがありますよ、ということは、ある程度見込むことができた?

ウェザーニューズ・宇野沢達也さん:
そうですね、そこまでは可能だったのではないか。実際にウェザーニュースでは、その可能性について言及していた

線状降水帯を捉えることができたのは2時間前

そして、ウェザーニューズの予報が現実に。
九州南部の各地で24時間に450mmを超える記録的な雨が降り、河川が氾濫。熊本だけで死者・行方不明者が67人にのぼった。

しかし、ウェザーニューズも気象庁と同じように、正確にピンポイントで雨雲を捉えることができたのは直前だった。

福島テレビ・斎藤恭紀気象予報士:
2時間ですね、2時間前に条件が揃って線状降水帯が発生するというのがわかったんですね

ウェザーニューズ・宇野沢達也さん:
そうですね、形成されつつあるというのがここで見えている

ウェザーニューズ・宇野沢達也さん:
気象庁は、防災情報としてある程度、正確性を持ちたい・持たせたいという所、(総雨量の)幅というところが足枷となって、(事前に)伝えきれなかったんだと思います

複雑な気象条件が重なり、発生直前までわからない「線状降水帯」。
「速報性」と「正確性」でジレンマを抱える中、命を守るためにカギを握るのは気象技術の向上。

避難完了まで3時間…それまでに予報を

ウェザーニューズ・宇野沢達也さん:
3時間あればある程度対策が取れると思うんですよ。一般的に、情報が発表されて避難が完了するまで2時間と言われています。だから、3時間前になんとか確度を高めた情報を伝える、伝えきるというのが、われわれ気象予報士をはじめとした気象情報に携わる人間の使命じゃないかと思います

福島テレビ・坂井有生アナウンサー:
空振りをおそれずに伝えていくべきでしょうか?

福島テレビ・斎藤恭紀気象予報士:
全く出ていないのであれば別だけど、ある程度 実況値として出ているところ、幅はあるけど危険な雨が降るよとデータとして出ているのであれば、われわれは恐れずに情報を出すべきなんじゃないかなと思います

【取材後記】
私がウェザーニューズの予報センターで働いていたのは今から23年前。
そのころにくらべると、情報量も計算・解析するソフトやハードも格段の差。
それでもゲリラ雷雨や線状降水帯の的確な予測はできないのです。
それを埋めるのはやはり人間の判断。早期に危険の芽を見つけ、命を守る行動を促すようにメディアで発信するのが私の役目だと考えます。
(福島テレビ・斎藤恭紀気象予報士}

(福島テレビ)