ロシアによるウクライナ侵攻開始から、2月24日で3年。
停戦交渉を目的としたウクライナ抜きのアメリカとロシアの首脳会談が迫るなか、北海道に避難しているウクライナ人は「期待できない」と戸惑いの声を上げている。
ウクライナ侵攻開始から3年

北海道函館市で行われた街頭活動。ロシアによる軍事侵攻に抗議し、ウクライナへの支援を広げようと、この市民団体は24日までに89回にわたり声を上げ続けてきた。
「3年経ってもウクライナ侵攻が続いている事実は忘れないでほしい」(戦争反対市民有志の会 呼びかけ人 鈴木亙さん)
2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻。両軍合わせて約30万人が死亡し、国連によると、ウクライナでは1万2500人以上の民間人が犠牲となった。
2024年からロシア側に北朝鮮兵が加わり、戦いは新たな局面に突入。2025年2月14日には、ウクライナのチョルノービリ(チェルノブイリ)原発がドローン攻撃を受けるなど、戦禍は続いている。
避難してきたウクライナ人に無料で日本語教室を開く

「オレナさん、ナンバー5、お願いします」(日本語教室の先生)
「いなさんにお金を返しましたか?いいえ、まだ返していません」(ウクライナ避難民 オレナさん)
札幌市北区の語学学校「サンフレンズ」。避難してきたウクライナ人に無料で日本語教室を開いている。学校を経営する杉田邦昭さんは、この3年で支援の手ごたえを感じていた。

「全く日本語ができないというところから、一緒に二人三脚で進んできた感覚があって、今ではこのように最低限の日本語が運用できるように向上できた。ほとんどが今ではお仕事についていて、大変うれしく思っている」(サンフレンズアジア代表 杉田邦昭さん)
北海道での生活を楽しむ姿も

言葉の壁を越え、北海道で大学進学や就職を決めた人もいる。北海道での生活を楽しむ姿も。
「サーモン、ツナ、寿司とてもおいしい。ラーメンとてもおいしい。(Q:何ラーメンが好き?)一蘭。一蘭おいしい」(ウクライナ避難民 マリアさん)
2025年1月末現在、日本に避難しているウクライナ人は1982人。このうち、22人が北海道に身を寄せている。
ようやく手にした穏やかな生活でしたが、アメリカとロシアの首脳会談の動向に不安を抱いている。

「特に驚くべきことは、両国(アメリカとロシア)が私の母国に何も聞かずに、自分たちの条件を提示して、私の母国について語っていることです。プーチン大統領とトランプ大統領は、プーチン大統領のせいで、多くの小さな子ども、大人、年金受給者、動物が亡くなり、家屋、歴史的建造物や人々の生活が破壊され、多数の人々が土地や家を追われたことを理解していません。このような人々には、これ以上何も期待できません」(マリアさん)
当事者であるウクライナ抜きで進む米ロの会談。ゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」と批判するトランプ氏を、ウクライナの人たちはどう見ているのだろうか。

「トランプ大統領がウクライナの鉱物の50%を欲しがっていることに驚いています。私にとってはとても不思議で奇妙なことです。なぜなら支援という言葉に見返りは含まれていないからです。私にとっては私利私欲なしに支援することは当たり前のこと」(オレナさん)
停戦交渉はどうなる?
はたして停戦交渉はどう進むのか。ロシア情勢などに詳しい専門家に聞いた。

「アメリカの優先順位はやはり今後ライバルになる中国がいるアジア。そのためにむしろロシアと良好な関係を作るんだと。ロシアの主張(ウクライナNATO非加盟など)を汲んだ和平の内容になる可能性が高い」(笹川平和財団上席研究員 畔蒜泰助さん)
一方、戦後最悪とも言われる日ロ関係には、どのような影響があるのだろうか。

「もしアメリカがそういう形(ロシアへの制裁緩和など)で動くのであれば、日本も(ロシアへ制裁緩和などの)余地が出てくるし、その先に政治対話の再開も視野に入ってくる。平和条約交渉が始まるということは、少なくとも元島民がビザなしで、北方領土を墓参する上で必要不可欠な条件です」(畔蒜さん)
停滞が続く北方領土問題。元島民には期待の声があがっている。

「返還するしないは別として、ビザなし交流だけは早まるのかもしれない。北方領土は不法に占拠されている。絶対に諦めることなく後継者3世、4世に何十年何百年かかっても(返還を)ずっと言い続けないといけない」(歯舞群島・勇利島出身 角鹿泰司さん)