ウクライナ侵攻後初の米露高官の直接対話が実施され、新たな協議体の設置などで合意された。協議では、「ウクライナでの大統領選実施」についても言及されたが、当事者であるウクライナを外した協議にゼレンスキー大統領は強く反発している。

米露協議“ウクライナ抜き”で実施

ウクライナ侵攻が始まって以来、初めての米露高官の直接対話が行われた。

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アメリカ・ロシア両国の新たな協議体を設置し、協議を続けるなどで合意したとアメリカ側が発表した。ウクライナ抜きの協議にゼレンスキー大統領は強く反発している。

立石修解説委員室長:
アメリカとロシア、この2つだけでウクライナの和平を話し合う。これは当然、ウクライナ側の反発は当たり前のことだと言えます。

宮司愛海キャスター:
そんな中、トランプ大統領に最も近いと言われるFOXニュースが、米露が水面下で進める和平プロセスの内容を報じました。

木村拓也キャスター:
具体的な内容というのは、アメリカとロシアがウクライナの和平プロセス案を3つの流れで考えているということです。

まず「停戦の実施」、そして次に「ウクライナでの大統領選実施」、その結果として「最終和平案の合意」という3段階で、最終合意前にウクライナで大統領選を行う、との内容です。本来ウクライナの大統領選は、2024年3月の予定でした。ただ、戦時中、戒厳令の下での選挙は禁じられているので続投している。しかも国民の大半もその方針を支持していて、ゼレンスキー大統領の任期が終わっていたとしても、この現状が続いているということです。

宮司キャスター:
大統領選挙のタイミングは、あくまでウクライナ側が決めることであって、ちょっと踏み込み過ぎなのではと思いますが。

立石解説委員室長:
ウクライナの大統領選の時期についてはバイデン政権のころから議題になっており、ウクライナ側も「停戦が実現され、ロシアが安全を保証することを担保できれば選挙も可能」としてきました。ですが、これにつけ込んできたのがプーチン大統領で、「任期切れのゼレンスキー大統領には、そもそも交渉に臨む権利なし」と主張してきました。

トランプ氏「大統領選挙を実施すべき」と示唆

宮司キャスター:
プーチン氏はあからさまにゼレンスキー氏を外したいのではないかと思いますが、トランプ氏も同じ考えということですか?

立石解説委員室長:
トランプ氏も、日本時間19日朝の会見でゼレンスキー氏の資質を「リーダーシップに欠けている」などと批判し、大統領選挙を実施すべきだと発言しています。プーチン氏の主張に同調するような形になっています。

FOXの和平案を伝えた記者によると、プーチン氏は「ゼレンスキー大統領以外の人物の方が柔軟で交渉や譲歩に応じやすい」と考えていると指摘しています。トランプ氏も選挙を行えば「ゼレンスキー氏以外の大統領が誕生する可能性が高い」とみているということです。ゼレンスキー大統領を停戦交渉の枠組みから外す意図が見えてきます。

宮司キャスター:
この案でゼレンスキー氏が態度を硬化させることになれば、停戦自体が遠のくと思われますが、どうみますか?

SPキャスターパックン:
僕もそう思います。ウクライナ抜きで進めることには結構懐疑的です。ゼレンスキー氏の不満を聞いたトランプ大統領は、だったらゼレンスキー氏がこの戦争を始めなければ良かったと言ったんです。

つまり、この侵略戦争の責任は侵略された側ウクライナにあると本人が思っているようなんです。そのスタンスからは、プーチンの要求に全部応えながら、ウクライナの要求に答えない交渉になりかねないなと思います。そうすると侵略した側が全て報われることになってしまうため、今回戦争が終わっても次の戦争をどうやって抑止できるのか疑問です。

ウクライナ不在の中で協議が行われているが、恒久的な停戦には、当事者である国の関与が必要なのではないだろうか。
(「イット!」2月19日放送より)

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