「優勝」そして「J1昇格」を目標に掲げるサッカーJ2のV・ファーレン長崎。 開幕戦は苦しみながらもホームで逆転勝利を飾った。J1昇格請負人のキャプテン山口蛍選手にも注目した。
約2万人の熱気に包まれたピースタ
待ちに待った15日の開幕戦。長崎スタジアムシティの「PEACE STADIUM=ピースタ」は熱気に包まれていていた。開幕戦に詰めかけたファン・サポーターは約2万人。
今シーズン注目する選手を聞いてみると…。
「マテウス選手。全試合ハットトリックを見たい！」
「増山朝陽選手は本当に元気で笑顔が素敵なので、活躍を見たい」
「安部大晴選手はケガしてしまったが、やっぱり長崎の至宝なので復帰してチームのJ2優勝に貢献してほしい」
そんな声が聞かれる中でも多くのサポーターが名前を挙げたのが「キャプテン山口蛍選手」だ。「やっぱり山口蛍選手！W杯にも出た経験をリーダーシップも期待している」と、サポーターの期待も大きい。
そんな山口蛍選手の開幕戦を追った。
後半に5分間で3点を奪う逆転劇
明治安田J2リーグ第1節。昨シーズン12位の熊本との九州ダービーだ。
ピースタ初のナイトゲームは、花火と光の演出で華やかに幕を開けた。しかし、試合は序盤から熊本に主導権を握られる。前半10分に先制を許し、苦しい立ち上がりとなった。
山口蛍選手、失点後はすぐに「早く」とジェスチャーでチームに指示を出す。大きな声で「切り替えろ」と仲間を鼓舞。
その後、V・ファーレンも徐々にチャンスを作る。前半32分にはマテウスからエジガル！しかし、これも仕留めきれない。
ゴールを奪えぬまま前半終了の笛が鳴ると山口選手も思わず空を仰ぐ。1点ビハインドで前半を折り返す。
開幕戦勝利に向け、2点以上が絶対条件となった後半、選手交代を機に流れが変わる。交代からわずか3分後、入ったばかりの松澤がドリブルで相手を交わしクロス！ これを押し込んだのはマテウス！ エースナンバー10を背負う男が、今シーズン初ゴールをあげる。
さらに2分後、再び松澤がドリブルで持ち上がり、増山が粘ると、最後はエジガルが蹴り込み逆転に成功！ 勢いはさらに止まらない！マテウスが倒されPKを獲得。これを冷静に決めて追加点！わずか5分で3点を奪う逆転劇に、スタジアムも大いに沸く！
ここでの山口選手！マテウスとエジガルがPKをどちらが蹴るかで熱くなっていると、ゆっくり歩み寄りエジガル選手をなだめる。強力な個性が光るチームをうまくまとめるキャプテンシーが垣間見えた。
終了間際には山口選手にもチャンスが。 コーナーキックをダイレクトでボレー。枠を外れるも会場を沸かせた。
その後、熊本に1点を返されたものの、リードを守り切り白星を飾ったV・ファーレン。 J1昇格に向け好発進だ。
インパクトメンバーが流れを変え 蛍が中盤で締める
白星発進となったV・ファーレン。下平監督は試合を振り返った。
下平隆宏監督：途中から入った海斗と朝陽が今日のゲームのキー。僕はインパクトメンバーと呼んでいるが、本当にゲームの流れを変えてくれるインパクトを残してくれた。山口蛍選手が中盤で締める役割を果たしてくれた。すごくテンション高く引っ張るキャプテンではないが、一言の重みがすごくある選手なので、締まったゲーム、締まったチームになる感じはする。
増山朝陽選手：こういう難しいゲームを逆転できた。結果を出さなきゃいけない年なので、初戦からしっかり結果が出たというのは非常に良かったかなと思う。
松澤海斗選手：前半の失点のところや後半の最後の失点のところはもっともっとチームとして改善していかねばならない。ドリブルもそうだが、今年はもっとゴールとかアシストというところを見ていただけたら。
戸惑いの連続！？キャプテン山口蛍のつぶやき
キャプテン山口蛍選手の取材班は、試合後のある場面を見逃さなかった。V・ファーレンの勝利の儀式といえば、サポーターと共に盛り上がる「カンターレ」だ。選手たちはタオルを振り回すのが恒例となっているが… 途中で異変に気付いた山口選手。首からタオルを外し、無事カンターレに乗ることができた。この時のことを振り返り、山口選手が思わず漏らした言葉は…。
山口蛍選手：カンターレは知らなかった。試合が終わった後の知らないことが多すぎて…ちょっと戸惑っていた。「はじめに教えてよ」って。それこそ試合の円陣の後に走るのも最初の頃知らなかったし、急にみんな走り出すから何かなと思っていた。キャプテンやっているけど何もしらんよ（笑）
試合についてはひとまず勝ち点3にホッとした様子の山口選手。「勝っていかないと意味がないので勝ちながら修正して、最後はいい形で勝ち続けられたら」と話した。
今後は山口選手のカンターレにも注目だ。次節はアウェーゲーム、23日（日）午後1時からレノファ山口FCと対戦する。
（テレビ長崎）
