10月22日に開催されるプロ野球ドラフト会議。今年も多くの高校生が運命の日を待つ中、能登の強豪・日本航空高校石川(石川・輪島)に、投打で注目を集める逸材がいる。最速153キロの速球を誇る一方、高校通算15本塁打の長打力も魅力の保西雅則選手だ。オリックスで活躍するOB・内藤鵬選手の背中を追い、高校生離れした肉体を作り上げた“二刀流”は、大舞台を前に何を思うのか。
最速153キロ&15発の二刀流 航空石川・保西雅則選手

県内外から有力選手が集まる航空石川において、今年、チームの中心となったのが3年生の保西雅則選手だ。投手としては、最速153キロのストレートと6種類の変化球を巧みに操り、打者を圧倒する。自身の武器について、保西選手は「150キロを超える真っすぐが投げられるピッチャーはまだ少ないと思うので、そういうピッチングかなと思います」と、その剛腕に自信をのぞかせる。1年生の夏から公式戦に出場し、2年生の秋からはエースとしてチームを牽引してきた。

兵庫県出身の保西選手が、能登の地にある航空石川を選んだのには明確な理由があった。10校以上の高校からオファーがあった中で、決め手となったのは中村隆監督の熱意だったという。
「監督さんが自分が『高卒でプロに行きたい』と言った際に、一番熱心に誘ってくれました」

中村監督もまた、保西選手との出会いを鮮明に記憶している。「将来化けたらすごい選手になるなという感じはありました。大きく育ててピッチャーとしてプロ野球のような世界に飛び込めるくらいの選手に育てていきたいなというのは思い描いていました」と、そのポテンシャルに惚れ込み、入学当初からプロの世界を見据えていた。
そしてもう一つ、彼の進路を決定づけたのが、偉大な先輩の存在だ。2022年のドラフト会議でオリックスから2位指名を受けた内藤鵬選手である。航空石川で通算53本塁打を記録した先輩の姿が、保西選手の目に焼き付いていた。
「自分が入学する前に内藤鵬選手がプロ野球の世界に行ったので、ここだったら自分もプロ野球選手になれるかなと思って決めました」と、先輩が切り拓いた道が、自身の夢へと続く道標となった。
高校生離れした肉体の源は“食欲”

保西選手の成長を語る上で欠かせないのが、その恵まれた体格だ。入学からの2年半で体重を10キロ以上増やし、現在は身長189センチ、体重104キロという堂々たる体格を誇る。この肉体を作り上げた源は、日々の食事にあるようだ。

「(ごはんを食べるのは)好きです」と語る保西選手。取材日も「普通ですけど、夜食の時のほうが腹減るっす」と、旺盛な食欲を隠さない。練習後も彼の食事は終わらない。「夜の10時くらいにコメと焼きそばとか卵とかを食べます」と明かすように、徹底した食事管理とトレーニングが、高校生離れしたフィジカルの土台となっている。

強靭な肉体を手に入れたことで、保西選手のもう一つの才能が大きく花開いた。豪快なバッティングである。打線の主軸を任されるようになったのは3年生になってからだが、そこから本塁打を量産し、高校通算で15本を記録した。

中村監督は、その打撃の成長について「確実性と飛距離の両方が備わってきたのが3年の春くらいのイメージです」と振り返る。そして、これまで指導してきた数々の教え子の中でも、その総合力は群を抜いていると断言する。
「体の大きさ、筋力、細かい動き、守備、打撃。全部を含めるとやはり(歴代の教え子の中で)一番ではないかなと思います」
偉大な先輩である内藤選手と比較しても、「内藤もすごかったですが、それ以上のポテンシャルを秘めているような気がします」と、最大級の賛辞を贈る。
目指すは“世代No.1二刀流”そして日本代表へ

150キロを超えるストレートが魅力のピッチャーと、恵まれた体格を生かした長打が武器のバッター。能登で開花した“二刀流”が、いよいよプロの舞台を目指す。運命のドラフト会議を前に、保西選手は現在の心境をこう語る。
「結構楽しみな気持ちですし、緊張もあるんですけど、その緊張も楽しみというか。ドラフトの日が待ち遠しいです」

その視線は既に、プロの世界で活躍する自分を見据えている。目指すのは、投手か野手か、どちらか一方ではない。
「ピッチャーでも野手でもやっぱりトップレベルにいきたいですし、いずれは日本代表になりたいです」
投打にわたる非凡な才能を秘めた大型プレーヤーが、静かに運命の日を待っている。
(石川テレビ・10月13日放送)
