岸田前首相を、爆発物で殺害しようとした罪に問われている男の裁判。被告人質問で男が語った身勝手な動機とは。
そして、被告の母親が証人として出廷した。
■【動画で見る】岸田前首相襲撃 動機は選挙に不満「関心を集めるため」 母は法廷で「本当に申し訳ない」
■現職の首相に対する殺人未遂など 5つの罪に問われる男の裁判

木村隆二被告(25):関心を集めるには、こういうことをしないと、どうしようもないと思った。
弁護側の質問に、淡々と冷静に答えた木村隆二被告(25)。
現職の首相に対する殺人未遂など、5つの罪に問われている。
2023年4月、岸田前首相は当時行われていた衆議院の補選の応援で、和歌山市の雑賀崎漁港を訪問。
木村被告はその場で取り押さえられ、逮捕された。
■「殺意」を否認 「世の中を良くしたい」と政治家を志していた

4日の初公判で「殺意はありませんでした」と木村被告は「殺意」を否認。
そのうえで弁護側は、事件の動機について、「被告は世の中を良くしたいという思いから、政治家を志していた」と説明。
しかし年齢の要件や供託金の問題で立候補できず、「選挙制度に不満を持っていて、世間の注目を集めたかったからだ」と主張していた。
■動機は「世間的に注目されていたかった」

そして6日、被告人質問で動機について、自らの言葉で答えた。
弁護側:当時、立候補要件を満たさなかったことに不満があった?
木村隆二被告:はい。
国を相手取って裁判を起こし、権利を主張するも退けられ、その後事件に至った理由を問われると…。
木村隆二被告:もとから裁判をしても棄却されるだろうと。で、世間的に注目されていたかったということで、関心を集めるためには、こういったことをしないと、どうしようもないと思った。
■「殺意」や「人を傷つける目的」があったのか? 実験は木の陰から観察

一方、検察側と主張が食い違うのが「殺意」や「人を傷つける目的」があったかどうかという点。
弁護側から木村被告が、事前に山の中で爆発物の実験をしていたことについて問われると…。
木村隆二被告:上に飛んだだけなので、あまり危険は感じなかった。
一方、検察側は、木村被告が実験の際、爆発物からおよそ5メートル離れた木の陰から、その様子を観察していたことを指摘。
検察側:なぜ5メートル離れた木に隠れた?
木村隆二被告:そこに木があって、爆発させるから木の後ろに。
検察側:身の危険があると思ったのでは?
木村隆二被告:特にはないです。
■被告の母親が出廷 「弱い人の力になる性格、気づかいができる子」

また、木村被告の母親が弁護側の証人として出廷した。
弁護側:事件について母親としての気持ちは?
木村被告の母親:この度は、大きな事件になってしまい、色々な方にご迷惑をかけて、本当に申し訳なかったと思っています。日常にない、大きな音がする爆弾を持ち込んだということで、すごく怖い思いをしたと思うし、トラウマになってしまうのではないかと感じています。
弁護側:母親から見てどんな性格?
木村被告の母親:弱い人にも力になったりするような性格。車通りがあまりなくても、信号を守ったり、気づかいができる子。
弁護人によると、母親はけがをした2人に、謝罪と被害弁償を申し出ましたが、どちらも断られたということだ。
判決は2月19日に言い渡される。