宮崎県・西臼杵広域消防本部では、長年にわたり上司のパワハラが横行していた疑いがあり、2015年の設立以降、8人が退職している。パワハラについて調査してきた百条委員会が最終報告書を提出し、処分は3月末までに決定する予定。退職した元消防士は「職員が希望をもって働ける組織に生まれ変わってほしい」と話す。

最終報告書「パワハラ25件」「セクハラ1件」

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西臼杵広域消防本部のパワハラ問題を巡り、事実関係を明らかにするため設けられた西臼杵広域行政事務組合議会の百条委員会は2025年2月、最終報告書を管理者の高千穂町・甲斐宗之町長に提出した。百条委員会では、職員2人によるパワーハラスメント25件と、職員1人によるセクハラ1件があり、被害者は合わせて20人に上ると認定した。

中には、「殴る蹴る」の暴行、「靴に酒を入れて複数の職員に飲ませた」、「お前、本当に殺すぞ」といった発言などがあり、暴力やセクハラは、刑事上の責任も問われる重大事案で看過できないなどとしている。

調査特別委員会 佐藤さつき委員長:
管理者のパワーハラスメントに対する認識不足と、それぞれがその下の人たちに任せてきたことが、今まで10年間、救済ができなかった結果ではないか。

管理者 高千穂町・甲斐宗之町長:
職員の心の傷をケアするためには、同じ職場で働かせることは、私たちの中では念頭にないととらえて結構。強い処分を検討せざるを得ないと考えている。

これを受けて西臼杵広域行政事務組合では、3月末までには処分を決定する予定だ。

元消防士が語るパワハラの実態とは…

西臼杵広域消防本部に勤務していた元消防士の男性に、電話で話を聞くことができた。男性は、消防本部が設置された2015年から勤務していた。

児玉泰一郎アナウンサー:
言える範囲で、どんなパワハラがあったのか教えていただけますか?

西臼杵広域消防本部の元消防士:
訓練の時にたたく、蹴るということだったり、人格否定、家族のことを悪く言ったりするのが見られた。奥さんのことを「太っている」という話とか、家族、父親などがやっている家業を悪く言ったり、台風で浸水などがあった中で「沈んだら良かったのに」的な発言があった。

男性によると、パワハラは10年前の設置当初からあり、声を上げても、長年改善されないことから退職を決意したそうだ。

西臼杵広域消防本部の元消防士:
正直、仕事にも行きたくなかったり、元々希望をもって入ってきた消防の仕事にやりがいや使命感をもってやってきた人間が、今はどうしてもそれを持てずに、何のために頑張っているかわからない。

新しい西臼杵消防へ

男性は、百条委員会の最終報告を西臼杵消防が変わるきっかけに、「職員が希望をもって働ける組織に生まれ変わってほしい」と話す。

西臼杵広域消防本部の元消防士:
みんなが自信と希望、やりがいをもって自分が西臼杵消防の一員であることを皆さんに胸を張って言えて、住民の方々に本当に愛していただけるような組織になっていただけたらと思う。

西臼杵広域行政事務組合では、ホームページで最終報告書を公開している。

(テレビ宮崎)

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