山形県内の公立高校入試は、2025年度から「前期・後期選抜」の2度の受験機会が設けられる。2025年2月3日、前期選抜を先行導入した3つの高校で、入学試験が行われた。「前期・後期選抜」入試は、受験生にとってどんな影響があるのかを学習塾で聞いた。
推薦入試を廃止し受験の機会が2度に
2度の受験機会を設ける「前期・後期選抜」は、従来の推薦入試を廃止して2025年度から山形県内全ての公立高校で導入される。
2024年度の入試から先行導入したのは谷地・米沢東・南陽の3つの高校で、2月3日に前期選抜の試験が行われた。

このうち、南陽高校では募集定員48人に対し41人が志願。志願者全員が受験し、作文と面接の試験に臨んだ。
結果は2月10日に中学校を通じて受験生に通知される。
2024年度の一般選抜は3月7日に試験が実施され、南陽など前期選抜を行った3つの高校も行う。
受験生の負担が増える可能性も
受験生にとってはチャンスが倍に増える「前期・後期選抜」の導入。特色ある試験をうたう「前期選抜」は、学校ごとに異なる検査内容に合わせた入念な対策が必要となる。

KATEKYO学院・稲毛祐二さんは「たとえば、山形東高校の場合、個人面接・作文・口頭試問の3つが課せられる。まるで大学の総合型選抜入試と同じように考える人もいる。山形工業高校であれば個人面接だけ」と話す。

前期選抜の試験内容は、「個人面接」「集団面接」「作文」「発表」「学校が課す学力検査などその他」の5つの中から、各高校が1つ~3つを選んで実施する。
いわゆる5教科の受験勉強に加えて、これまで必要がなかった対策を求められ、受験生の負担が増える可能性があるという。
稲毛さんは「もし前期選抜でダメだった場合、後期選抜のことも考えて勉強を並行する必要がある。バランスが大事になる」と指摘する。
学校生活の“活動”が必須に?
そして、前期選抜を受験する際の要件には、評定だけでなく学校生活における「経験」が必要となる場合がある。

稲毛さんは「生徒会活動と部活動・スポーツ活動・探究活動・ボランティア活動、さまざまなものがあるが『活動』が必須となる場合がある」と話す。

県内の公立高校の全日制の志願倍率は、2023年度が0.78倍と7年連続で1倍を割り込み、1998年以降で最低となった。
近年、私立高校を専願する受験生が増える中、この新しい制度は公立高校に志願者を呼び込む1つの策としても期待されている。
(さくらんぼテレビ)