長野県塩尻市で95年の歴史がある銭湯「桑の湯」が、2024年末に新たな経営体制で営業を再開した。一度は閉業したものの、地域住民の存続を願う声に応え、26歳の若者が店長として就任。新しい設備や長時間営業など、新たな試みを取り入れながら、昔ながらの雰囲気を守り、幅広い世代が集う憩いの場を目指している。
「26歳店長が95年の歴史つなぐ」
桑の湯の新店長に就任した相良政之さん(26)は、銭湯巡り・サウナ巡りが好きで、エンジニアから転職し東京と大阪で銭湯の立ち上げを経験している。

相良さんは「前からのお客さんが結構来ているのは、手応えとしてすごく感じています」と話す。
「存続願う声に応え復活」
2024年6月に一度閉業した桑の湯。
4代目の桑沢弘幸さんは「もう無理だというのが、決断のつらいところで、苦しいところですね、胸が痛みます」と語った。

しかし、閉業を知らせると、存続を願う声が相次ぎ、後継者の募集を始めた。
「新設備で快適な入浴体験」
12月26日のプレオープンでは、新たにかけ流しの水風呂や少しぬるめの子ども風呂が設置された。

相良店長は「お風呂の滞在時間を延ばしてあげるよう、熱いお湯に入って、水風呂入って、休憩してを繰り返して、『温冷交代浴』をしてもらえるようにつくっている」と説明する。
「5000冊の漫画で長時間滞在」
休憩スペースには5000冊もの漫画が置かれ、ゆっくりと過ごせる空間が用意された。

利用客からは「めっちゃポカポカ温まった後に、冷たい牛乳飲んで最高でした。休憩スペースはゆっくりできたり、お話しできたりするから、すごくいいなと思います」という声が聞かれた。
「朝5時から深夜1時まで営業」
新生・桑の湯の営業時間は午前5時から深夜1時まで(午後1時〜3時は清掃、定休日:火曜)と、以前より格段に長くなった。

朝風呂も好評で、「(仕事終わりに入ると違いますか?)全然違いますね、めちゃめちゃ気持ちいいですね」という声も聞かれた。
「4世代で来てもらえる銭湯に」
相良店長は「4世代で来てもらえるような銭湯にしたいなと思っています。30年、40年後も、子どもが大人になりその子どもを連れてきてもらえる銭湯にしていければいいなと思います」と抱負を語った。

桑の湯は、地域の人々に愛され、世代を超えて集う憩いの場として、新たな歴史を刻み始めている。
(長野放送)