山之内すずさん:こんにちは、山之内すずです。 私の地元でもある神戸・三宮にやってきました。高校生の頃はバイトもしていましたし、友達と遊ぶのもデートとかするのも、お買い物も何もかも三宮でしていた気がしますね。

■【動画で見る】震災を知らない世代・山之内すずがふるさと神戸で尋ねる「しあわせ運べるように」歌で語り継ぐ「震災の記憶」

タレント・山之内すずさん。神戸で生まれ育ったすずさんだが、阪神・淡路大震災は、生まれる前の出来事。

山之内すずさん:1人1人にいろんなストーリーがあると思うので、そういうところに改めて気付くきっかけをいただけたらと思います。いろんなお話を聞けたら、学ばせてもらえたらなと思います。いってきます。

山之内すずが歩く「1.17」。ふるさと・神戸を巡って、今まで知らなかった「震災のストーリー」と出会う。

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山之内すずさん:さあ、センター街ですね。もうおなじみですね。

山之内すずさんがまずやってきたのは、三宮センター街。休日には1日10万人が訪れるという、まさに神戸の中心地。

山之内すずさん:結構久しぶりに来ました、センター街。 Q.よく行ってた店とかあるんですか? あれ何だっけ、39マートとかWEGOとかが入ってる…『ビブレ(2019年にオーパに改称)』。大体ビブレですよ。中学生、高校生。

■「意外と話してないな」神戸でも親から震災の話を聞く機会はあまりない

思い出の場所で街の人に話を聞く。

山之内すずさん:阪神淡路大震災から30年を迎えるっていうことで、いろいろ話を伺っているんですけど。

母(50代):家が全壊。避難所でずっと暮らしていました

山之内すずさん:避難所生活はどれぐらい続きました?

母(50代):長かった。私ら途中で抜けちゃったんですけど、1年近くとかいらっしゃった方もいたと思います。

山之内すずさん:そういう話って(親子で)共有されたりします?

娘(20代):阪神淡路のことを学校で習った時に聞いてっていうのは何回かあります。

山之内すずさん:私も震災を経験していない世代なんですけど、これから先どんどん増えていく中で、そういう世代の方に残していきたい、伝えていきたいことはありますか?

母(50代):本当に急に来るので。タンスが倒れないようにとか、ちゃんと家で話をしている方がいいなと思いますね。

山之内すずさん:私も母からそんなにたくさん話を聞いたかって言われたらそうではないので、意外と話してないなと思いますよね。

■商店街では「アーケードが落ちてきた」

商店街のお店の方にも震災当時の話を聞いた。

山之内すずさん:このお店はいつごろから?

紅屋 松谷泰宏代表取締役社長:ここはちょうど祖父が始めた頃なので、もう50年か40年前後はやっていると思います。

山之内すずさん:どうでしたか、センター街の様子は。

紅屋 松谷泰宏代表取締役社長:私が聞いているのは、このアーケードが三宮センター街のシンボルになっているんですけど、もう落ちてきて。

当時の写真を見てみると…

山之内すずさん:え、ほんまや。今のセンター街のイメージが強すぎて想像がつかない。

■にぎわいを取り戻した三宮センター街

30年前は大学生で父親の手伝いをしていたという植村さんに、詳しい状況を教えてもらった。

山之内すずさん:これ(アーケード)が落ちてくるって考えたら、恐ろしいですよね。

神戸三宮センター街1丁目商店街 植村一仁副理事長:名残りがまだある。鉄骨が出てるでしょ。昔ここにブリッジっていう橋みたいに、こっちからこっちへ渡るものがついていた。それも全部地震の時につぶれて、ここは建物が全部なくなっちゃったから。

深刻な被害を受けたセンター街だったが、新たなアーケードが3年後に完成。今も街のにぎわいを作り出している。

山之内すずさん:壊れてみんなで時間をかけて立て直してきたからこそ、より愛着というか、思い入れが強くなる。

神戸三宮センター街1丁目商店街 植村一仁副理事長:本当にみんな好きなんですよね、神戸が。地震があったがゆえに余計好きになっているところがあるんじゃないかなという気がするんですよ。うちのおやじなんかもそう。何かにつけて『神戸はええ街や』ってずっと言い続けるのは、多分そういうのがあるのかな。

山之内すずさん:ちっちゃいときから何回も通っていて、どこかで分かった気ではいてるけど、結局自分の見た世界しかまだ見れていないから、ちょっと違う視点でセンター街を見られるようになりますよね。

センター街の皆さんに別れを告げ、すずさんは次の目的地へ向かった。

■震災のシンボル「しあわせ運べるように」

次に訪れた「コミスタこうべ」には、山之内すずさんもよく知っている、ある「震災のシンボル」とつながりの深い人がいた。

山之内すずさん:お邪魔します。よろしくお願いします。震災のシンボルとなるものに関係していると聞いているんですけど。

臼井真さん:(震災のとき)ここの学校で働いていたんです。じゃあヒントを…。

そういって臼井さんはピアノに向かうと…。
山之内すずさん:『しあわせ運べるように』ですね。

■「しあわせ運べるように」を作詞作曲した臼井さん

神戸で歌い継がれてきた合唱曲「しあわせ運べるように」。復興のシンボルとしてすずさんのみならず、神戸っこならだれもが知る名曲だ。

山之内すずさん:『しあわせ運べるように』が、神戸市の学校の先生が作った楽曲ということは知っているんです。ということはもしかして…

臼井真さん:そうです、当たりですね。30年前に私が作詞作曲しました。この学校に勤めていた時に避難所になって、地震の後、2週間後ぐらいですかね。

山之内すずさん:本当に学校の校歌よりも多くの回数歌った楽曲やなって思っていて、みんなで合唱する曲はいろいろあると思うんですけど、その中でも唯一無二というか、違う雰囲気を持っている楽曲やなと小さいときから感じていた記憶があります。

■臼井さんが勤めていた小学校 30年前避難所に

「しあわせ運べるように」はどのようにしてつくられたのか。2人は小学校だったときと同じ姿の体育館に向かった。

臼井真さん:隙間がないぐらいたくさんの方が来られて、全部の教室とか廊下にも寝ておられた。職員は交代で夜の職員室の机の上に寝たりとかしていました。

臼井さんはすずさんのために1枚の貴重な紙を持ってきてくれた。

臼井真さん:これが私が走り書きをした、歌をメモした紙なんです。30年たっていてこんなんです。鉛筆で書いていて消えかかっていますけど。

山之内すずさん:本当だ、音階が。

臼井真さん:ソドドドレミミレドシソラシって。

■「しあわせ運べるように」はわずか10分でできた

臼井さんの自宅は全壊。親戚の家に身を寄せる中、テレビから流れてきた衝撃的な映像が「しあわせ運べるように」誕生のきっかけとなった。

臼井真さん:避難所と自分の家のあたりの景色は知っていたけど、三宮がどうなっているかって2週間考える余裕もなかった。突然パンと(テレビで)見たんですよ。それで神戸の街が消えてしまったと胸にガンときて、紙に走り書きをして。突然ですよ。急にです。

山之内すずさん:どのぐらいで(曲は)できたんですか?

臼井真さん:10分。まさか自分が地震をテーマにした大それた歌を作るなんて全然考えてもなかった。『地震にも負けない』と(歌詞に)一番最初に書いたのは、自分自身が負けそうだったということもあった。『亡くなった方々の分も』と次に書いたのは、こんなに簡単に人は死んでしまうのかと。こんなところで死にたくないって絶対思ったと思うし、その方々のことを思えば時間を大切にして、悲しい気持ちでひるまずに、生きていかなければいけない。そういう誓いでもあったかなと思います。

山之内すずさん:10分で書き上げたっていうのは全然知らなかった。パッと思いついた詞だからこそ、端的に伝わるメッセージ性のあるものだったのかなって。お話を聞いたうえで改めて『しあわせ運べるように』聴きたいですね。

■子供たちが歌う「しあわせ運べるように」

山之内すずさん:声がしてますね。すごい、お邪魔します。すみません、歌っているところ。

 すずさんの登場に大盛り上がりなのは、 神戸市北区・桂木小学校の子供たち。実はコンクールの全国大会にも出場する強豪校で、いまは震災から30年の節目に向けて「しあわせ運べるように」を練習中。

桂木小学校 室屋尚子先生:その当時、臼井先生から楽譜いただいて、これがこんなに長い間歌い継がれるのは曲の力。

山之内すずさん:しあわせ運べるようには好きですか?
小学生:はい。

山之内すずさん:よく歌う?
小学生:はい。

山之内すずさん:これだけで元気出ますね。どういうところが好き?
小学生:みんなを元気づけてくれるような曲と歌詞がすごいなって思っています。

■「歌が身近にあるからずっと震災のことを覚えている」

山之内すずさん:みなさんの歌声聞かせてもらってもいいですか?
小学生:はい。
山之内すずさん:もうキレイ、『はい』がキレイ。

いよいよ「しあわせ運べるように」の合唱♪

山之内すずさん:なんて素晴らしい。ありがとうございます。

山之内すずさん:生まれてから今まで大きい地震って経験したことある?
小学生:ない。 

山之内すずさん:すずもないねん。実際どんな気持ちかっていうのは想像するの難しい部分もあると思うけど、歌で全部表現されている。震災を経験していない世代だけど、歌が身近にあるからずっと震災のことを覚えている、そういう大事な役割を果たしている曲なんじゃないかなと。これからも自信を持っていっぱい歌って、楽しく思いをつなげてください。

小学生:はい。

山之内すずさん:みんなの声で聴くと全然違う、びっくりした。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年1月13日放送)

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