飯田市(長野県)が、市内の公園に設置されている古い蒸気機関車「デゴイチ」の譲渡先を探している。1940年から1972年まで走り、その後50年以上にわたり市民に親しまれてきた車両は、老朽化が進み、市による維持管理が困難になったため、新たな引き取り手を募集することになった。譲渡条件には、約90トンある車両の撤去や運搬費用の負担、譲渡後3年間の一般公開などが含まれている。

「ワクワクドキドキの感覚」

蒸気機関車は、飯田市の扇町公園に置かれている国鉄のD51形蒸気機関車・通称「デゴイチ」。

昭和初期に主に貨物輸送用として製造され、全国各地を走っていた。

D51形蒸気機関車
D51形蒸気機関車
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飯田市商業観光課の原佳美さんは、子どもの頃の思い出を次のように語る。「ここにステップがついてまして、上まで上って、運転席からのぞいてみたりできましたね。目線が高いので、見たことない、ワクワクドキドキの感覚は覚えていますね」

老朽化で立ち入り禁止に

しかし、設置から50年以上が経過し、車両は老朽化が進んでいる。

塗装が剥げ、さびが目立ち、床が抜けている箇所もある。

飯田市の扇町公園に置かれているSLの車両
飯田市の扇町公園に置かれているSLの車両

ここ10年ほどは安全面から車両への立ち入りを禁止している状況だ。

第3の居場所を探して

飯田市商業観光課の原佳美さんは、無償譲渡の理由を次のように説明する。「年数がたちすぎてくると修繕が難しいということもあり、飯田市として管理することが難しいので愛好家含め、大事にしてくださる方がいればぜひお願いしたいと思います」。

老朽化したSLの車両(飯田市)
老朽化したSLの車両(飯田市)

技術面でも費用面でも市が維持管理を続けるのは困難となり、「無償譲渡」で引き取り手を探すことを決定した。

譲渡の条件は

譲渡の条件として、車両の撤去や運搬などの費用負担、譲渡後3年間の一般公開が挙げられている。

原さんは、デゴイチの未来についてこう語る。「一時代、活躍したものですので、大切にしてくださる方がいれば、そういう方に引き取っていただいて、広く展示していただきたいのが一番」。

飯田市の扇町公園に置かれているSLの車両
飯田市の扇町公園に置かれているSLの車両

募集期限は1月末までとなっている。

(長野放送)

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