兵庫県の西宮神社で、新春恒例「福男選び」が1月10日、開催された。

最強寒波が関西を襲う中で行われた“熱い熱い”神事の行方を13台のカメラで徹底追跡。

また裏方として行事に関わった、能登半島地震で被災した神社の神職の男性の思いにも迫まった。

■【動画で見る】福男は高2「自分の福を能登の人たちに分けてあげたい」 「運分けてほしい。最強の男や」と友人

■毎年恒例の神事「福男選び」 運よく一番福の男性にも事前に話を聞くことが…!

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記者リポート:(気温は)1.9度と凍えるほどの寒さなのですが、こちらには福を求めて多くの人が集まっています。

商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、西宮神社で毎年1月10日の朝に行われる、神事「福男選び」。

ゴールの本殿に最も早くたどり着いた3人が「福男」に認定され、「一番福」を手にした人には、ことし1年の福が集まると言われている。

最強寒波が関西を襲う中だが、参加者に“アツい”意気込みを聞いた。

ちなみに、“運”よく一番福の男性にも、事前に話を聞けていたのだが、この中の誰なのだろうか?

参加者:心は燃えているので、全然寒くないですね。

参加者:就活なので僕自身にも、周りにも、福いっぱい与えられるように頑張ろうと思います。

参加者:新年まだ良いことあまりないので、きょう走って、福男とって良い一年にできたらなと思ってます。
参加者の友人:くじはずれたけど、友達が当たるなんて思っていなかったから、うれしくて。頑張ってほしいです。(Q.応援の為に残るんですか?)応援します。

(Q.くじはどうでしたか?)
参加者:最前列です。5番です。人生変えたい気持ちで、きょうは結構気持ち入れて来ました。

参加者:みんなが笑顔になれるような、福男になりたいと思います。若い者に負けない。頑張ります!

■「痛烈なふがいない」能登半島地震の被害を受けた神社から神事に協力へ

スタート時間が刻々と迫り、開門のリハーサルにも力が入る中、1人だけ他と違う法被を身に着ける男性の姿があった。

石川県珠洲市の須受(すず)八幡宮で神職を務める小林隼也さん(31)だ。

去年の元日に起きた能登半島地震で、神社は大きな被害を受けた。

須受八幡宮 権禰宜 小林隼也さん:一年の初めに、さまざまなことを祈願したはずの日に地震が起こったということで、痛烈なふがいなさを感じました。

今年は関西も阪神淡路大震災から30年を迎える。

そこで今年は福男選びを通じて、能登に「福」を持って帰ってほしいという思いから、西宮神社側が依頼し、小林さんが裏方として神事に協力することに。

前日には、参拝客らに支援への感謝を込めたカードも手渡した。

福男選び本番で担当するのは、スタート地点の赤門を内側から支える重要な役割「門押さえ」。

須受八幡宮 権禰宜 小林隼也さん:能登の復旧復興への扉を開く思いです。自分が大きな門に立ち向かっている姿勢を見て、少しでも勇気付いていただけたらと思います。

能登への思いものせた「福男選び」が、いよいよ開門の時を迎える。

■スリップ・転倒…3つの急なコーナーのある参道を駆け抜ける

ここからはニュースキャスターの前は、競馬実況を担当していた、「newsランナー」の吉原功兼キャスターの実況でお届けする。

【吉原功兼キャスターの実況】
兵庫県の西宮神社で開催される「福男選び」。

参加者が駆け抜けるのは、3つの急なコーナーで構成される全長230メートルの参道です。

まずスタート地点の赤門。集団に飲み込まれずスタートダッシュを切れるのかが最重要ポイント。

早朝からもくもくと仕事に励む屋台の前を通過する、通称“たい焼きコーナー”を抜けると、木が行く手をさえぎるようにそびえる第2コーナーへ。例年、スリップ・転倒が多発する場所です。

そして体力的に最もキツイところで迎える最後の難所。微妙な段差や勾配がある第3コーナーを抜け、本殿へ。

早くたどり着いた3人に「福男」の称号が与えられます。

■いよいよ神事スタート

いよいよ、運命のとき。

2025年の「福男選び」スタート。

能登半島地震で被災した小林さんが開けた門から、およそ100人が一斉に走り出しました。おっと、早くも転倒。

そんな中、先頭は、最初の“タイ焼きコーナー”へ走り込みます。

目の前を次々と人が走り抜けていく。その瞬間も屋台の準備をする皆さんは決して作業の手は止めない。

カーブを曲がったところで先頭が入れ替わります。黒いシャツの男性が前に出て、そのまま後ろを引き離していく。第2コーナーもそのまま独走。

先頭は、勢いそのまま最後のカーブを曲がり本殿へ駆け込みます。

後続が直前で、また次々と足を取られている。

ことし見事、一番福を手にしたのは、宝塚市の高校2年生、大岸史弥さん(17)です。

■「自分の福を能登の人たちに分けてあげたい」一番福は高校生

ことしの一番福 大岸史弥さん:ことし良い一年にできたらなと思ってます。自分の福を、能登の人たちに分けてあげられたら。

友人:これやばい。感動もんや。運分けてほしい。最強やん。ことし最強の男や。

友人の皆さんが大岸さんと再会して、あらためて祝福する。

友人:いやーえぐい。おめでとう。

ことしの一番福 大岸史弥さん:応援してくれたので、すごく感謝しています。この寒い中、待ってくれたのもありがとうって気持ちでいっぱいです。

■「能登の復旧復興へ根ざせればいい」大役を果たした能登の小林さん

そして能登からやってきた小林さん。無事、大役を果たした。

須受八幡宮 権禰宜 小林隼也さん:もう十分に皆さんの福をいただいています。この福が復旧復興へ根ざせればいいなと思っています。

震災への特別な思いをのせて行われた今年の「福男選び」。

皆さんのもとにもたくさんの福が届きますように。

(関西テレビ「newsランナー」2025年1月10日放送)

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